著者
高橋 健 小林 成禎 広瀬 洋 杉山 恵一 高井 國之 川口 雅裕 白鳥 義宗 野田 俊之 冨田 栄一
出版者
Japan Society for Health Care Management
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.443-447, 2007

岐阜地域は、岐阜市と近隣医師会が地域診療を担当し、中核となる病院が複数設置された人口約80万人の医療圏である。この医療圏において各々の病院で一疾患に対し、異なる様式の地域連携クリティカルパスが運用されると、複数病院と連携しているかかりつけ医には不都合である。このため、岐阜地域の既存の連携体制を基に、2006年8月、各病院と岐阜市医師会の連携を担当する医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、事務職を中心とした岐阜医療連携実務者協議会を設置し、統一地域連携クリティカルパスを作成し運用する試みを行った。<BR>連携ネットワーク構築を先行した展開において、協議会が各病院の専門医の意向を確認し、地域連携クリティカルパスの作成対象疾患をウイルス性慢性肝炎と心筋梗塞とした。続いて、両疾患の専門医と、院内クリティカルパスの専門グループの参加を得て、両疾患地域連携クリティカルパスのワーキンググループを立ち上げ、統一規格の基で地域連携クリティカルパスを作成し、2007年5月、「岐阜地域医師会連携パス」として岐阜地域のかかりつけ医に向けて広く公開した。<BR>「岐阜地域医師会連携パス」の目的は、対象疾患の安定維持と異常所見の早期発見、役割を分けた地域完結型医療の確実な実施、ならびに質の保持された地域における医療の均一化とした。地域連携クリティカルパスの評価と改定は、各ワーキンググループが行い、連携部門は運用の支援・モニターと、ネットワークの維持・安定を担当することとした。
著者
野田 俊之 藤原 久義
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.196-200, 1997-02-10
参考文献数
4

狭心症は,一過性心筋虚血に起因する胸部絞扼感・圧迫感などの発作を生ずる症候性疾患である.症状に関する問診は診断上重要な役割を果たす.痛みの性状,部位および放散,広がり,持続時間,始まり方,頻度,誘因,寛解のしかたなどを詳しく聞き取ることにより,かなりの症例で胸痛が狭心症によるものか否かを鑑別できる.胸痛がSAVES(突然発症,前胸部,漠然とした不快感,労作による発症,短い持続)という5つの特徴をもっていれば労作狭心症が強く疑われる.ニトログリセリンが有効であれば更に確実である.一方,胸痛発作が安静時,特に夜間から早朝にかけて起こりやすい場合は冠れん縮性狭心症が強く疑われる.発作時間はしばしば長く,全身症状を伴うこともある.鑑別すべき胸痛をきたす疾患としては,心筋症,不整脈などの心血管疾患,心臓神経症,食道けいれんなどの消化器疾患,頸椎疾患などがある.