著者
野田 進治 野口 弘三 古賀 秀昭
出版者
佐賀県玄海水産振興センター
雑誌
佐賀県玄海水産振興センター研究報告 = Bulletin of Saga Prefectural Genkai Fisheries Research and Development Center (ISSN:13429205)
巻号頁・発行日
no.3, pp.21-24, 2005-03

1.形状の異なるイカ篭に産卵基質であるイヌツゲの代替品について試験を行ったところ、産卵基質としてポリモンが、キンラン、ロープ、ヒサカキより有効であるとの結果が得られた。また、コウイカの産卵は、イカ篭の形状より産卵基質に対する選択性が強いと推察された。2.コウイカの入篭がみられたのは卵が産み付けられていたイカ篭に限られていた。コウイカの入篭数はポリモン-円筒型とポリモン-折畳型が最も多く、次いで、ポリモン-半球型とキンラン-円筒型であった。3.コウイカ類以外の漁獲物としてはカワハギが最も多く、次いで、マダコで、その他にはカサゴ、マダイ、アイナメ、コノシロ、マハ夕、アミメハギ、キュウセン、テングニシ、バフンワニ、マナマコ等が入篭した。4.ポリモンは装着したいずれのイカ篭にもコウイカの産卵がみられ、コウイカも漁獲されたことから、イヌツゲの代替品として有効と考えられた。
著者
野口 浩介 野田 進治
出版者
佐賀県玄海水産振興センター
巻号頁・発行日
no.6, pp.15-20, 2013 (Released:2014-02-07)

マナマコ種苗生産では,付着珪藻を繁茂させた付着珪藻板に採苗する生産方式飼育を行っているが,この付着珪藻板上にコペポーダが大量に増殖する問題があるため,炭酸ガス通気海水を用いた除去法の開発を行った。まず,コペポーダ,稚ナマコの活動に与える影響を検討し,次に量産規模でのコペポーダ除去法の検討を行った。pH5.2以下の炭酸ガス通気海水に30分間浸漬することで,コペポーダを除去できたが,2時間浸漬すると稚ナマコも斃死することが判明した。また,量産規模でもコペポーダを除去することができたが,除去後約10日間で再びコペポーダが増殖し,注水海水から侵入することが判明した。そこで,注水口に10μmフィルターを取り付けることで,コペポーダの増殖を約25日間遅延することができた。
著者
野口 浩介 野田 進治
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.131-135, 2011 (Released:2012-12-06)

ナマコ種苗生産で発生するコペポーダの防除法確立のための基礎試験を行った。種苗生産現場で発生するコペポーダはシオダマリミジンコと判定され,0.2個体/cm2の密度では稚ナマコの初期餌料となる付着珪藻は維持できるが,2.0個体/cm2では約7日間で全て摂餌され,体長0.4~1.0mmの稚ナマコはコペポーダ密度0.2個体/cm2以上で斃死することがわかった。付着珪藻を繁茂させたシャーレに稚ナマコとコペポーダを混在させた場合,コペポーダはまず付着珪藻を摂餌し,付着珪藻が減少するまでの期間,稚ナマコが斃死しないことが判明した。また,UV発光するFITC染色した稚ナマコを斃死させたコペポーダを蛍光顕微鏡で観察したところ,脚部付近は強く発光するが,胃や糞では発光せず,この結果から稚ナマコの斃死要因は食害ではなく,接触ダメージであると推測された。