著者
金 孝珍
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.198-213, 2022-09-30 (Released:2022-10-19)
参考文献数
29

日本語母語話者と非母語話者が日本語でコミュニケーションをする接触場面では母語話者同士によるコミュニケーションとは異なった言語行動が繰り広げられる.一例として,母語話者による「タメ口」と呼ばれる言語形式の使用が挙げられる.本研究では,接触場面の初対面会話におけるタメ口使用に着目し,スピーチレベル運用の傾向及び相手のスピーチレベルについての評価を調査した.そして母語話者のスピーチレベル運用に関わる要因及びメタメッセージ,非母語話者(本研究では韓国人日本語使用者)のスピーチレベル運用及び解釈に関わる言語的・文化的要因について考察した.日本語母語話者及び韓国人日本語使用者を対象に行った質問紙調査の結果,接触場面の初対面会話で母語話者が用いるスピーチレベルは,主に丁寧語及びタメ口であることが明らかになった.また,母語話者のスピーチレベル運用には「言語的力関係」,日本語についての「ステレオタイプ」,「外国人要因」などが関わっており,「言語的気配り」あるいは「言語的おもてなし」とも言えるメタメッセージが内包されていることが分かった.一方で,日韓の初対面会話ではタメ口使用がコミュニケーション上の誤解やトラブルの要因になり得るということが示された.
著者
袴田 光康 金 任仲 堂野前 彰子 木村 淳也 金 孝珍
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本・韓国・琉球の漢文テキストを通して、東アジアにおける神仏習合の分析を行った。具体的には『扶桑略記』(日本)・『三国遺事』(韓国)・『遺老説伝』(琉球)という三つのテキストを対象とした。研究の結果として、東アジアの固有神が仏教によって護国神へと変容するという共通点を持つこと等を明らかにした。その成果は、2013年度韓国日本言語文化学会(ソウル)の口頭発表や『「三国遺事」の新たな地平』(勉誠出版、2013年11月)の論文などによって広く発表されている。