著者
金 順玉 木下 幸 鈴木 美成 古田 直紀
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.617-622, 2009 (Released:2009-09-03)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

本研究では,大気粉塵(airborne particulate matter : APM)試料中の全硫黄(S)の定量法として,誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)を用い,水抽出されるSと残査を酸分解して得られるSの和を求める手法を開発した.開発した手法により,大気粉塵標準物質(NIST SRM-1648)中Sを精確に定量できた.本手法を実際のAPM試料で応用した結果,APM試料中Sは,粒径が小さくなるにつれ濃度は増加し,水溶性のSの割合も多くなった.イオンクロマトグラフィー(IC)による解析の結果,2 μm以下のAPM試料中のSは99% が水溶性で,その化学形態は硫酸アンモニウム (NH4)2SO4であることが明らかになった.