著者
金井 大季 小倉 康
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.527-536, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
17

本研究では,理科における「学びに向かう力・人間性等」を科学的リテラシーに関わる意識に主体性・協調性を加えた7項目の意識で捉え,それらが全体的に高まるように,児童自身に行動目標を自己決定させた上で問題解決の過程に取り組ませると共に,学習内容と日常生活との関連を活用として扱う指導法を設計し,その有効性を実践的に検証することを目的とした。手立てⅠとして,学習者にその授業で達成する目標を自己決定させることで主体性,協調性を喚起し自己効力感を高める指導,手立てⅡとして,学習内容の日常生活への有用性,重要性,職業との関連性を意識させ興味・関心を高める指導を設計した。小学校第6学年「てこ」の単元で指導法を検証した結果,開発した指導法を用いた実験群が,従来の指導法による統制群に比較して,7項目中6項目で学びに向かう力・人間性等の意識が有意に高く,学習理解度についても有意差が確認された。このことから,本指導法は理科における「学びに向かう力・人間性等」を育むために有効であることが示唆された。