著者
金井 幸子
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
学長特別研究費研究報告書
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.117-119, 2004-06

子ども達にとって主要な学校という生活の場から,思春期にある中学生の学校での心身の訴えと状態を知ることで,病気を抱えながら中学校生活をおくる子どもに対するサポートの課題について検討するために,新潟県下の中学校(1校)教諭4名に半構造化面接法による聞き取り調査を行った.教諭の語りから,生徒の疾患についての情報源,病気を抱え中学校生活をおくる生徒の対応で困ったこと,そして医療者,特に看護師に対しての要望について内容を抽出し,分析した.結果,小中学校間・学校内・教諭と患児または親の情報の共有が図られていた.しかし,医療機関とのかかわりはほとんどなかった.教諭の「困ったこと・感じたこと」について,11カテゴリーが抽出され,〈良い子・頑張り屋の生徒に対しては要求をかなえたい,何とか助けたい〉,〈病気だからといって特別扱いはできない〉,〈思春期の病児の劣等感・羞恥心に対する困難さ〉などの教諭・病児の疾患から生じる良価的な思いがあった.「看護師に対しての要望」にていては語られず,「医療機関との連携」について語られ,〈救急時の応急処置・保護者との連絡方法〉,〈資料や直接的なケース別対応策の相談受付〉,〈学校生活は,生徒の本人の管理下にある〉,〈親との話し合いだけでは対応が困難〉,(医療機関と学校が直接つながることによるプライバシー問題),〈医療者側の学校理解の不十分さ〉の6カテゴリーが抽出された.