著者
金子 幾之輔
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.47-58, 2008-03-31

本研究は,まばたきチックを呈する1名の男子(10歳,小学校4年生。以下,clと称する。)に対して,ハビット・リバーサル法(セルフ・モニタリング法付加)と母親へのカウンセリングを併用し,その臨床的有効性を検討した。治療の最初の段階では,clにハビット・リバーサル法を適用するとともに,母親へのカウンセリングによる情緒の安定化と養育態度の改善を図ったが,clのチック回数は一時的に減少するにとどまった。そこで,次の段階として,clに対してセルフ・モニタリング法を付加した結果,clのチック回数は漸時減少した。また,その治療過程において母親の情緒の安定化と養育態度の改善が有効に機能した。全体の結果として,clのチック症状は相当に軽減したが,まだ完全に治癒したとはいえないことから,今後も経過観察する必要がある。