著者
金森 明 水野 伸一 松葉 秀基 小林 智輝 松原 庸博
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.113-117, 2019-01-31 (Released:2020-03-24)
参考文献数
23

症例は53歳女性,腹部手術歴はない。丸餅を12個摂取した翌日に腹痛が出現し当院を受診。腹部全体に強い痛みを訴え,腹膜刺激症状もみられた。腹部CTでは胃内に餅と思われるhigh densityな食物残渣が多数みられた。上部小腸は拡張し,小腸内にも,胃内と同様に餅と推定されるhigh density massを認めた。以上の所見より餅による食餌性腸閉塞と診断し入院となった。絶食と経鼻胃管による減圧で保存的に症状は軽快し,食事摂取が可能となり退院となった。食餌性腸閉塞はさまざまな食材で報告があるが,餅による腸閉塞の場合は強い腹痛を呈し腹膜刺激症状がみられることがあるため穿孔性腹膜炎などを疑い手術となった報告がみられる。しかし本症例のようにCTで容易に診断可能であるため保存的治癒の可能性を検討する必要がある。餅摂食が原因の腸閉塞を経験したため文献的考察を加えて報告する。
著者
山本 健太 金森 明 桐山 勢生 谷川 誠 久永 康宏 豊田 秀徳 多田 俊史 安東 直人 新家 卓郎 坂井 圭介 安田 諭 安藤 祐資 木村 純 曽根 康博 熊田 卓
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.1667-1672, 2013 (Released:2013-08-28)
参考文献数
17

83歳女性.平成10年に胆嚢結石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.平成22年11月上腹部痛精査のため入院した.入院時肝胆道系酵素上昇を認め,腹部造影CT検査で拡張した総胆管内に局所的に高いCT値を有する結石を認めた.感染兆候を認めず抗血小板薬内服中のため保存的加療を開始し,第7病日にERCPを施行した.総胆管は拡張し,内部に迷入クリップと考えられる金属陰影を含む結石透了像を認めた.内視鏡的乳頭切開術を施行し,截石した.第9病日合併症なく退院した.本症例は胆嚢摘出時に超音波凝固切開装置を使用しクリップを減らす工夫をしたが胆管結石を生じた.比較的稀な合併症であり文献的考察をふまえて報告する.