著者
金藤 敬一
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.856-859, 1994-12-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

ポリアニリン薄膜は電解酸化と還元により伸縮する.両電極にポリアニリン薄膜を用いた短冊型アクチュエータを試作した.1M塩酸水溶液中で電極間に1.5Vの交流電圧をかけると,最小曲率半径が1cmの円弧になる屈伸運動を繰り返した.このアクチュエータの原理,特性および特徴について述べる.
著者
金藤 敬一 高嶋 授
出版者
九州工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

導電性高分子ポリピロール(PPy)は、電解重合成膜時の支持電解質調整により、全く相反する二つの伸縮特性、即ち陰極膨張性及び陽極膨張性を示すフィルムを作成可能なことが明らかとなった。これは、ドーピングに寄与するイオンの極性が反転したためとして説明付けられる。これらの相反的な変形を示すフィルムを各レイヤーとして二層構造に配置することにより、両層ともに伸縮活性なバイモルフ型アクチュエータが作成可能であることを見いだした。これは、PPy自立フィルムの両面における正負両イオンがシンクロ的に脱注入することが駆動源と見なされることから、従来型の単層・単イオン駆動型バイモルフアクチュエータと識別する意味で"バイアイオニックアクチュエータ(BIA)"と称される構造体である。従来、バイモルフアクチュエータは伸縮不活性な支持層と伸縮活性な伸縮層との間での自然長変化による共有接合界面での大きな変形ストレスが駆動因子である。ここに提案するBIAは、(1)両層とも伸縮活性であり、同一ポリマーをホストとした断続的な電解重合法により二層構造を形成させるために(2)シームレスな界面を形成するといった特徴を有しており、剥離性問題が無い強靭な接合界面はまた、駆動寿命を飛躍的に増大させる可能性を有している。従って、BIAは、バイモルフ型ソフトアクチュエーターとしてより理想的な駆動機構を有する構造体であり、導電性高分子の有するフィルム変形の機能性を十分に生かした構造体として、今後高い応用性が期待される。