- 著者
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新川 祐利
針間 博彦
梅津 寛
齋藤 正彦
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.875-880, 2013-09-15
抄録
妻の妄想に感応したパーキンソン病の初老期男性例を報告した。患者はX-11年(53歳)にパーキンソン病を発症した。X-6年(58歳),妻は「電磁波で攻撃され体がしびれる」という身体的被影響体験や「電磁波で悪口を送ってくる」という幻聴とそれらに基づく被害妄想を呈し,翌年,患者は妻の被害妄想に感応した。X年(64歳),2人は当院を初診し別々の病棟に医療保護入院となった。患者には被害妄想とともに幻聴と身体的被影響体験の感応が疑われる訴えもあった。妻が統合失調症を発症した後,患者は妻の症状に感応したと考えられたが,パーキンソン病による精神病症状の鑑別を要した。入院後は抗精神病薬を投与せず,妻からの分離のみで「電磁波」の訴えは消失したため,感応精神病と診断された。パーキンソン病が感応の成立に影響を与えた要因として,心理社会的要因には社会的孤立と妻優位の関係性の強化,脳器質的要因には軽度認知障害による現実検討力の低下が考えられた。