著者
橘 ゆり 鈴木 ひろ子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.45-50, 2017 (Released:2017-03-31)
参考文献数
13

本研究の目的は、医療的ケアを必要とする子どもの在宅生活を継続している母親がどのような思いを抱いているのかを明らかにすることである。医療的ケアを必要とする子どもの在宅生活を継続している母親, 7名に半構成的面接を行い、質的記述的研究方法により分析した結果、家族は【地域のサービスを利用しながら家族そろって生活ができる喜び】、【家事、育児、ケアの時間に追われ、心身への負担を感じる】、【体調の変化に伴う緊急時の不安】、【夫や同胞へ負担をかけているのではないかという心配】、【医療的ケアが必要なことによる支援体制への不安】、【今後の生活への前向きな思い】、【子どもの成長の喜びと将来への不安】、【出生時に感じた悲哀の思い】の8カテゴリーの思いを抱いていた。母親が多様な課題をクリアしながら、安心して生活を送るためには他職種や地域の社会資源との連携を継続的に行うことが必要である。また、親の会や同じ障がいをもつ母親との出会いを促すかかわりをしていくことが大切であり、人と人をつなぐ橋渡しは在宅支援の大きな役割である。子どもの成長発達を母親とともに喜び、その思いを共有することが大切である。また家族そろって生活ができる母親の喜びの心の内には、出産時に感じた悲哀の思いを抱き続けていることを忘れず、継続的にかかわっていく必要があると考えられる。