著者
鈴木 亜矢子
出版者
お茶の水女子大学生活社会科学研究会
雑誌
生活社会科学研究 (ISSN:13410385)
巻号頁・発行日
no.22, pp.65-77, 2015-11

本稿では,職場で旧姓通称使用する女性20 人への半構造化面接による聞き\取り調査を基に,近年の夫婦別姓の位相の一端を明らかにする.選択的夫婦別\姓制度の法制化が実現しない一方,職場での旧姓通称使用が拡大している.当\事者への調査により,対象者は社会規範に沿う形で結婚改姓し,職場の慣習に\倣う形で旧姓通称使用することで,意図せずして二つの姓を持つに至っている\ことが明らかになった.別姓実践者の社会的承認のために,選択的夫婦別姓制\度が導入されるべきであることは言うまでもないが,同時にジェンダー不平等\な法制度一般を改革していくことが重要である.