著者
長谷 幸 鈴木 修武 大立 真理子 鈴木 繁男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.248-256, 1973-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
8 13

はちみつ中のHMFの加熱および貯蔵による変化について検討した。(1) 加熱処理の際,50℃では24時間,60℃では10時間では,HMFの増加はほとんどなかった。(2) 加熱によるHMFの変化は,はちみつの種類によって差があって,pHの低い緩衝性の少ない品質のはちみつはHMFの生成量が大きい。(3) 10℃以下の貯蔵ではほとんどHMFの変化はなく,むしろ減少傾向があった。室温(5~10月)でも増加の程度は少なく,36℃貯蔵では相当増加する。(4) 貯蔵中のHMFの変化の程度もはちみつの種類や品質によって差がある。国産れんげはちみつは,輸入はちみつよりも増加率が少なかった。(5) はちみつ中にあらかじめHMFを添加して,室温と36℃で貯蔵した。室温では減少し,36℃では始めは減少し,あとは徐々に増加した。(6) クエン酸添加によりHMFの生成量は多くなり,温度が高いとその傾向が大きい。(7) プロリン,第2鉄塩の添加による,貯蔵中のHMFの変化へ与える影響はほとんどなかった。
著者
鈴木 修武
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.115-121, 2004 (Released:2011-03-05)

本研究は炒めもの、焼きもの等の用途に適する食用油脂を製造するために、ハネ現象の解明を目的とした。加熱温度によるハネは、鉄板の表面温度が120℃以下ではほとんど認められず、140℃から少量跳ねはじめ、160℃で本格的に跳ね、180℃で著しく跳ね、200℃で爆発的に跳ねた。投入油量と投入水量によるハネは、油量の多少にかかわらず跳ね、水は少ない状態ではあまり跳ねなかったが一定量以上になると跳ねた。市販の食用油脂類については、ハネない油として売られている油はハネ防止の効果があり、また炒め油でもハネ抑制効果があった。ごま油やラードのような油脂は激しく跳ねたが、ファットスプレッドやバターはハネ防止効果があった。調味料によるハネは、穀物酢や料理酒のような粘性のないものは断続的に激しく跳ねた。醤油、ソース、みりんのような粘性のある固形物の多い調味料は、泡が出て持続的に跳ねた。食材の違いによるハネでは、牛肉は豚肉よりも跳ね、ジャガイモ、人参、ナスの野菜類については付着水や材料の吸水性、吸油性により異なった。食材におけるハネない油、炒め油、菜種油のハネ量の違いは、ハネねない油<炒め油<菜種油の順で跳ねた。異なる食材でも傾向は同じであった。ホットブロックバスにおいては温度が高いとよく跳ねた。また鉄板焼き器のように初期の温度が高くても食材を入れることによって急激に温度低下するとハネは少なかった。以上のことから、食用油脂のハネ現象は鉄板の温度が高く、油脂が存在し、一定以上の水が存在するときに跳ねた。ハネない油やハネ防止処理をした油脂は跳ねなかった。調味料、肉類や野菜類の違いによりハネ方が異なり、ハネない油等でハネを抑制できた。