著者
長谷 幸 鈴木 修武 大立 真理子 鈴木 繁男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.248-256, 1973-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
8 13

はちみつ中のHMFの加熱および貯蔵による変化について検討した。(1) 加熱処理の際,50℃では24時間,60℃では10時間では,HMFの増加はほとんどなかった。(2) 加熱によるHMFの変化は,はちみつの種類によって差があって,pHの低い緩衝性の少ない品質のはちみつはHMFの生成量が大きい。(3) 10℃以下の貯蔵ではほとんどHMFの変化はなく,むしろ減少傾向があった。室温(5~10月)でも増加の程度は少なく,36℃貯蔵では相当増加する。(4) 貯蔵中のHMFの変化の程度もはちみつの種類や品質によって差がある。国産れんげはちみつは,輸入はちみつよりも増加率が少なかった。(5) はちみつ中にあらかじめHMFを添加して,室温と36℃で貯蔵した。室温では減少し,36℃では始めは減少し,あとは徐々に増加した。(6) クエン酸添加によりHMFの生成量は多くなり,温度が高いとその傾向が大きい。(7) プロリン,第2鉄塩の添加による,貯蔵中のHMFの変化へ与える影響はほとんどなかった。
著者
小長谷 幸平 藤野 正也
出版者
富士山科学研究所
雑誌
富士山研究 = Mount Fuji Research (ISSN:18817564)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-16, 2019-02-01

本研究の目的は、明治時代から戦後にかけて、駿河湾を隔てて富士山を見る視点はいつ、どのようにして変化していったのかを明らかにし、富士山を見る視点の変化を論じることにある。明治後期から戦前の期間に発行された絵葉書を対象に、画面構成要素を記録してデータベース化し、クラスター分析と主成分分析を実施して絵葉書を分類し、富士山を見る視点および三保松原を含む景観を見る視点の変化を検証した。 その結果、駿河湾を隔てて富士山を見る視点は、「富士山を含む俯瞰景」という意味では衰退することなく評価されてきたと考えられた。その理由として、俯瞰景としての清見潟のエリアは視対象として衰退することがあったとしても視点場として損なわれることはなかったこと、また同様の俯瞰景を享受できる日本平エリアの視点場が開拓されていったことが要因として考えられた。一方、低地からの三保松原を前景とする富士山の景観は失われてきたことが示唆された。要因としては清水港湾内の開発・工業化が考えられた。
著者
小長谷 幸史 小田島 大 山家 真奈美 高橋 悠斗 古俣 真夕 重松 亨
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.425-435, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
21

分子生物学など幅広い分野で用いられているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は,現在では高等学校の生物の教科書にも記載され,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査で用いられていることにより社会にもPCRが広く認知されるようになった。高等学校の生徒に対してPCRの原理と応用に関する質問紙調査を行った結果,ほぼ全員PCRという言葉を知っていたが,SRAS-CoV2の検査に関すること以外の記述はほとんどなかった。この生徒に対し大学と連携によるPCRの実験を伴った授業を行った。授業は通常の授業時間のなかで説明,PCRの操作,電気泳動を含めて2校時内に行うものとし,PCRは3台の温度の異なるウォーターバスを用いて生徒が反応液の入ったPCRチューブを移動させる“手動PCR”の方法で行った。PCRは原核細胞の16SリボソームRNA遺伝子のほぼ全域の約1500 bpの部分を標的とし,試料は納豆から分離したBacillus subtilisの菌体およびそのDNA,納豆の粘りを用いた。1校時目に全体の説明とPCRの反応操作を行った。PCRの条件は初期変性2分間の後,94°C 20秒間56°C 20秒間72°C 20秒間の25サイクルで行った。2校時目にPCR後の反応溶液を電気泳動に供した結果,9班中2班で目的のPCR産物が得られていた。本実践では感染症対策を十分にとって行うことができた。授業後の課題の設問への解答にはPCRの原理や検査以外の応用の記述がみられるようになった。本実践により通常の授業時間の2校時と課題による時間外学習によりPCRについて学ぶことができる生徒実験が構築できる可能性が見出された。