著者
鈴木 元気 森川 多津子 柏倉 桐子 唐 寧 鳥羽 陽 早川 和一
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.117-122, 2015-03-10 (Released:2015-09-03)
参考文献数
20

首都圏3地点(野毛、九段、つくば)において、野毛および九段では2006~2013年まで、つくばでは2010~2013年までの夏と冬の大気粉塵を捕集し、多環芳香族炭化水素 (PAH) 9種類およびニトロ多環芳香族炭化水素 (NPAH) 3種類をそれぞれHPLC-蛍光検出法、HPLC-化学発光検出法で測定し、その濃度の変遷を明らかにした。PAH濃度は野毛、九段で2006年から2008年の間の冬に低下傾向が認められた。NPAH濃度は、野毛では2006年から2011年の間の夏と冬、九段では2007年から2009年の間の夏および2006年から2011年の間の冬に低下傾向が認められた。つくばでは観測期間が2010年から2013年と短く、PAHとNPAHのいずれについても明確な変動傾向は認められなかった。また野毛および九段で[1-NP]/[Pyr]値の低下が確認され、PAH、NPAH濃度低下の要因の一つとして自動車排ガス規制による粉塵およびNOx排出量の減少が考えられた。