著者
鈴木 嘉治
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.817, 2018 (Released:2018-08-01)
参考文献数
4

抗がん薬誘発性の悪心嘔吐は,担癌患者に苦痛を伴わせ,患者のquality of lifeや治療への参加意志を損なうものである.多くの臨床試験により,コルチコステロイド,5-HT3受容体拮抗薬,NK1受容体拮抗薬およびオランザピンが抗がん薬誘発性の悪心嘔吐の制御に有用であることが示されてきたものの,その制御は完全には克服されておらず,現在でも多くの検証研究が進行中である.サリドマイド(thalidomide:THD)が多様な薬理効果を示すことは既知であるが,近年では抗がん薬誘発性の悪心嘔吐に対する制吐薬としての有用性が示されつつある.そこで本稿では,高度催吐性リスク抗がん薬の投与を受けた患者における遅発期(抗がん薬投与25〜120時間後)の悪心嘔吐の制御を目的として,THDを制吐薬として併用した場合の効果および安全性について第3相試験により検証したZhangらの研究を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Sommariva S. et al., Crit. Rev. Oncol. Hematol., 99, 13-36(2016).2) Rojas C. et al., Eur. J. Pharmacol., 684, 1-7(2012).3) Navari R. M. et al., N. Engl. J. Med., 375, 134-142(2016).4) Zhang L. et al., J. Clin. Oncol., 35, 3558-3565(2017).
著者
鈴木 嘉治
巻号頁・発行日
2013

Thesis (Ph. D. in Medical Sciences)--University of Tsukuba, (A), no. 6597, 2013.3.25