著者
中田 有紀 阪井 麻里 日向 正文 鈴木 照雄
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.775-780, 2000-10-05
参考文献数
3
被引用文献数
1 7 3

食品用のプラスチック容器は食品衛生法の対象製品であり,特定成分についての溶出基準値はあるが,スチレンモノマー,ダイマー及びトリマーに関しては基準値の定めがない。しかし,スチレンダイマー及びトリマーは環境庁が外因性内分泌撹乱化学物質の調査対象としてリストアップしている物質の一つである。このため,日常的に使用されている食品容器からの溶出実態を把握するため,市販のカップめん容器(6検体),使い捨てプラスチックカップ(5検体)及びコンビニ弁当容器(2検体)を試料として,各溶媒に溶出するスチレンモノマー,ダイマー(4物質)及びトリマー(5物質)を,GC/MSにより分析した。その結果,溶媒がn-ヘプタンの場合,ダイマーが15.6~745ppb,トリマーが208~6110ppb,20%エタノールの場合,モノマーが0.11~1.5ppb,ダイマーが0.353~4.86ppb,トリマーが0.892~9.87ppb,水の場合,モノマーが0.14~2.6ppb,ダイマーが0.035~1.291ppb,トリマーがN.D.~2.666ppb溶出した。また,材質中に含まれる量も分析したところ,ダイマーが171~426ppm,トリマーが3260~12800ppm含まれていた。