著者
柴田 利彦 山田 正 石原 寛治 鈴木 範男 永来 正隆 藤井 弘一 末広 茂文 佐々木 康之 上田 真喜子
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.217-220, 1994-05-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

Systemic lupus erythematosus (SLE) に合併する血管病変は主に細小動脈の閉塞性病変とされており, 大血管に拡張性病変を合併することは希である. 今回SLEに合併した若年者腹部大動脈瘤を経験したので報告する. 病理所見では大動脈 vasa vasorum の増生・内膜肥厚と炎症性細胞浸潤を認め, 動脈硬化性の動脈瘤とは異なる像を呈していた. 本症例の腹部大動脈瘤は vasa vasorum の増生・内腔狭窄に起因して生じた可能性が示唆された.
著者
鈴木 範男 DAVID L. Gar GARBERS david L. GARBERS Davi
出版者
金沢大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

精子活性化ペプチド(SAP)は構造と活性の特異性から次ぎの5種類に分けられる。SAP-I Gly-Phe-Asp-Leu-Asn-Gly-Gly-Gly-Val-GlySAP-IIA Cys-Val-Thr-Gly-Ala-Pro-Gly-Cys-Val-Gly-Gly-Gly-Arg-Leu-NH_2SAP-IIB Lys-Leu-Cys-Pro-Gly-Gly-Asn-Cys-ValSAP-III Asp-Ser-Asp-Ser-Ala-Gln-Asn-Leu-Ile-GlySAP-IV Gly-Cys-Pro-Trp-Gly-Gly-Ala-Val-CysSAP-V Gly-Cys-Glu-Gly-Leu-Phe-His-Gly-Met-Gly-Asn-CysSAP-Iの場合SAP-Iとその誘導体はより大きな前駆体タンパク質として卵巣内の栄養細胞で合成され,processingを受け成熟卵母細胞の周囲のゼリー層付加されるものと考えられる。SAPが精子細胞膜上の特異的受容体に結合すると,細胞膜上のリン酸化型グアニル酸シクラーゼが付活化され,直ちに脱リン酸化され,不活性化される。この脱リン酸化に伴って膜結合性グアニル酸シクラーゼのSDS電気泳動上の見かけの分子量が低下する。バフンウニ精子の膜結合性グアニル酸シクラーゼは構成アミノ酸1125残基のタンパク質として合成されるものと考えられる。この酸素の成熟タンパク質のリン酸化型は131kDaで脱リン酸化型は128kDaである。リン酸化型グアニル酸シクラーゼは約24molのリン酸を含み,脱リン酸化型は約4molのリン酸を含む。これらのリン酸はホスフォセリンとして存在するものと考えられる。バフンウニ精巣からクローニングされたグアニル酸シクラーゼcDNAの塩基配列から予測されるタンパク質の一次構造の解析及び他の膜結合性グアニル酸シクラーゼの一次構造との類似性から,バフンウニ精子の膜結合性グアニル酸シクラーゼは単一の膜貫通領域で分子がほぼ等分の細胞外,細胞内領域に分けられ,細胞内領域にはキナーゼ様領域と触媒領域が存在するものと推定される。キナーゼ様領域には9残基のセリンが,触媒領域には15残基のセリンが存在する。グアニル酸シクラーゼの脱リン酸化,不活性化及びSDS電気泳動上の見かけの低分子化が連動した現象であることを着目し,プロテインホスファターゼの阻害剤存在下で精子ホモジェネートにSAP-Iを加え低分子化を指標として脱リン酸化(不活性化)に関与するプロテインホスファターゼの性質を検討した結果12μMのカリキュリンAが低分子化を約30%抑制し,かつグアニル酸シクラーゼ活性を高いレベルに維持する作用があることを見いだした。オカダ酸,ミクロシスチン-LRはSAP-Iによって誘起されるグアニル酸シクラーゼの低分子化及びそれに伴う不活性化には顕著な効果を示さなかった。酸素活性の測定及びSAP-I架橋実験の結果からグアニル酸シクラーゼ及びSAP-I結合タンパク質は精子尾部に局在していることが明かにされたが,精子尾部に存在するCa^<2+>非依存性プロテインホスファターゼは分子量の違いから3種類(250kDa,43kDa,30kDa),オカダ酸に対する感受性の違いから2種類存在することが本研究で明かにされたが,これだけでは上記のホモジェネートを用いた実験結果を説明することができないことから,グアニル酸シクラーゼの脱リン酸化を特異的に起こすプロテインホスファターゼの検索をするために基質となるグアニル酸シクラーゼ(部分精製の脱リン酸化型酵素)をcAMP依存性プロテインキナーゼの触媒サブユニットと[r-^<32>P]ATPによる再リン酸化を試みたが成功しなかった。膜結合性グアニル酸シクラーゼを特異的にリン酸化する精子細胞内の内在性キナーゼを検索する過程で,バフンウニ精子の1%CHAPS可溶化画分中にセリン残基が特異的にリン酸化される48kDaタンパク質を見いだした。[r-^<32>P]ATPでリン酸化される精子ホモジェネート中の48kDaタンパク質は反応液中に生理的濃度のcAMP,cGMPを加えることによって特異的に脱リン酸化された。精製の結果この48kDaタンパク室は等量の39kDaタンパク質と会合しており,native状態では400kDaの大きさのタンパク質として存在していることが明らかになった。48kDaタンパク質に対する抗体を作成し,これを用いて,λgt11-バフンウニ精巣cDNAライブラリーよりイムノスクリーニングした結果3.3kbのcDNAクローンが得られた。このcDANの塩基配列はマウス脳皮質に局在するDN38mRNAと60%のホモロジーがあった。