著者
鈴木 美咲 平野 大輔 小賀野 操 谷口 敬道 杉原 素子
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.37-45, 2017

本研究の目的は,若年者と高齢者のペットボトルのキャップ開封方法を観察・分類し,握力・つまみ力との関係性を明らかにすることである.若年者として女子大学生51 名,高齢者として地域在住高齢女性62 名の右利き女性を対象に,未開封の500 mL のペットボトルのキャップ開封動作をビデオカメラで撮影した.撮影後,握力と指腹,側腹つまみ力を各々3 回測定した.若年者と高齢者の共通点として右手でキャップをつまみ,左手で本体を把持するパターンが多かった.高齢者では開封不能者を11 名認め,握力・つまみ力は開封可能者に比べ有意に小さかった.開封可能な高齢者においても本体底面を大腿部に押し付けて固定する者等,若年者には見られない方法で開封する者がいた.若年者と高齢者の開封方法は類似していたが,高齢者では母指の力を利用する,3 指のつまみや手掌面の押し付けで接触面を増やす,といったパターンが多く見られ,キャップに力を伝えやすい方法を選択していたものと考えられる.