- 著者
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伴野 太平
小森 ゆみ子
鈴木 聡美
田辺 可奈
笠岡 誠一
辨野 義己
- 出版者
- 日本栄養・食糧学会
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.5, pp.229-235, 2016 (Released:2016-12-15)
さつまいもの一種である紅天使を健康な女子大学生22人に摂取させた。加熱後皮をむいた紅天使の食物繊維は2.9g/100gだった。摂取開始前1週間を対照期とし,その後1週間単位で紅天使を1日300g,0g,100gとそれぞれ摂取させた。排便のたびに手元にある直方体の木片(37cm3)と糞便を見比べ便量を目測した。その結果,対照期には1.8±0.2(個分/1日平均)だった排便量が,300gの紅天使摂取により約1.6倍に,100g摂取により約1.5倍に増加した。排便回数も紅天使摂取量の増加に伴い増加した。300g摂取でお腹の調子は良くなり便が柔らかくなったと評価されたが,膨満感に有意な変化はなかった。各期の最終日には便の一部を採取し,腸内常在菌構成を16S rRNA遺伝子を用いたT-RFLP法により解析した結果,紅天使摂取により酪酸産生菌として知られるFaecalibacterium属を含む分類単位の占有率が有意に増加した。