- 著者
-
原 貴洋
松井 勝弘
鈴木 達郎
手塚 隆久
森嶋 輝也
- 出版者
- 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
- 雑誌
- 農研機構研究報告 (ISSN:24349895)
- 巻号頁・発行日
- vol.2021, no.9, pp.25-36, 2021-11-30 (Released:2022-02-01)
- 参考文献数
- 21
「NARO-FE-1」は,九州沖縄農業研究センター(以下,九沖研とする)において育成された春まき栽培でき穂発芽しにくいソバ新品種である.「NARO-FE-1」は,九沖研選抜の5 系統の交配後代から集団選抜法により選抜固定して育成された.「NARO-FE-1」は春まき品種「春のいぶき」と比較し穂発芽しにくく,春まき栽培において多収で,容積重が大きい.夏まきの標準期播種栽培では,「さちいずみ」と比較し成熟が早く低収であるが,遅播栽培では同等の収量があり経済栽培が成り立つ.成熟期,草丈,倒伏程度と食味は「NARO-FE-1」と「春のいぶき」で同程度である.なお,品種名「NARO-FE-1」は,各地域等で育成したブランド名はそのままに品種を置換できる「地域農産物ブランド化における品種と商標との知財ミックス戦略」を想定し命名したものである.本品種は暖地,温暖地,北陸の春まきソバ栽培地域での普及が見込まれる.