著者
鈴木 隆仁
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.11-17, 2013-02-28 (Released:2018-03-30)
参考文献数
19

Chaetonotids (Gastrotricha) are small 60-400μm in length, inhabit both the freshwater and marine environments. Their bodies are tenpin- or bottle- like shaped; flattened ventrally and arched dorsally. The sensory organs, brain, and pharynx are located in the anterior head. Posteriorly, a "furca" bears the adhesive organ. The locomotory cilia are restricted to the ventral surface, forming a pair of ciliary bands. The body wall is usually composed of the external cuticle of a flexible proteinous layer. In some gastrotrichs, the basal layer is locally thickened and specialized to form scales, spines, and hooks. The cuticular scales vary in arrangement and shape, depending on the species. The most common species are freshwater chaetonotid species that inhabit ponds, swamp, streams, and lakes. In these species male is entirely absent, thus the most chaetotonids reproduce by parthenogenesis. About 700 species of chaetonotids have been reported so far around the world. In Japan, 34 species were recorded from lakes, ponds, and swamps. Recently, 44 species have been found in the rice paddies. In this paper the natural history and diversity of chaetonotids are reviewed.
著者
小林 千余子 蛭田 千鶴江 鈴木 隆仁
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

刺胞動物門ヒドロ虫綱に属するマミズクラゲは、淡水棲でありながらクラゲを放出する生物である。日本全国で夏場にマミズクラゲ成熟個体の発生が報道されるが、一つの池で一性別だけしか確認されないことが多く、その生物伝播や性決定に関して謎多き生物である。申請者は 7年前にマミズクラゲポリプを入手し、1個体から個体数を増やすことに成功し、さらに温度変化によるクラゲ芽形成の条件を確立した。そこで本研究では、実験室内で有性生殖世代を再現し(性成熟を引き起こし)、さらに核型解析による染色体情報やゲノム情報を得ることで、マミズクラゲにおける性決定が、遺伝的要因なのか環境的要因なのかの決着を付けることを目的として研究している。H28年度はワムシを餌に用いた幼クラゲからの性成熟に挑戦した。その結果、ワムシを与える頻度や飼育の水深等を工夫することで、初めてメス池から採集したポリプから分化した幼クラゲの生殖腺が発達し、卵を持つ卵巣へと成熟した。H29年度は オス池から採集したポリプから分化した幼クラゲをワムシを用いて飼育することにより、精子を持つ精巣が発生してくることを確認した。また、メス池から採集したポリプから分化した幼クラゲと、オス池から採集したポリプから分化した幼クラゲを、同じ飼育水槽で、ワムシという同一の餌の条件下で飼育しても雌雄異なる性が発達したことから、マミズクラゲの性はポリプの世代で決まっている、つまり遺伝的要因である可能性が大きく示唆された。