- 著者
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鍵谷 勤
武本 勝雄
川添 渉
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 日本化学会誌
- 巻号頁・発行日
- vol.1976, no.6, pp.935-940, 1976
- 被引用文献数
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3
クロロジフルオロメタン(CHCIF<SUB>2</SUB>),クロロトリフルオロメタン(CCIF<SUB>3</SUB>),ジグロロジフルオロメタン(CC1<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>),1,1-ジフルオロエタン(C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>F<SUB>2</SUB>),プロモクロロジフルオロメタン(CBrCIF<SUB>2</SUB>),プロモトリフルオロメタン(CBrF<SUB>3</SUB>),2,2-ジフルオロエチレン(C<SUB>2</SUB>H<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>),クロロトリフルオロメタン(C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>)あるいはテメラフルオロエチレン(C<SUB>2</SUB>F<SUB>4</SUB>)などの各種フルオロカーボンを1000ppm含有する空気に,室温で水銀灯の光を照射した。空気中に存在するCCI<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>およびC<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>の光分解反応は,アルゴン中に存在するときより速くなった。CCI<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>を含有する空気に100Wの高圧水銀灯を照射すると,光照射後の気体中に一酸化炭素および二酸化炭素が認められた。フルオロカーボン類,クロロフルオロカーボン類,不飽和フルオロカーボン類および不飽和クロロフルオロカーボン類の初期分解度(単位時間あたりの分解率)は,紫外線の波長の短いほど大きくなり,プロモフルオロカーボン類の場合には波長の長いほど大きくなった。高圧水銀灯(100W)の光を照射したときの,C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>の初期分解度はCCI<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>の場合の約1000倍であり,CBrCIF<SUB>2</SUB>の場合の約50倍であった。また,C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>は太陽光線の照射によっても分解し,3日間の屋外曝露で約60%分解した。しかしながら,CC1<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>の分解は1週間の屋外曝露によってもまったく起こらなかった。C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>の光酸化分解反応は塩素やオゾンによって促進されるが,CCI<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>およびCBrCIF<SUB>2</SUB>の分解反応は,いずれの場合にも促進されなかった。一方,CF<SUB>4</SUB>やC<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>F<SUB>2</SUB>などはオゾンの分解反応に影響を与えなかったが,C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>およびCBrCIF<SUB>2</SUB>はオゾンの分解反応を促進した。オゾンとCl<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>の両方を含有する空気に高圧水銀灯の光を照射した場合のオゾンの初期分解度とCCI<SUB>2</SUB>F<SUB>3</SUB>の初濃度の対数との間に直線関係がなり立った。