著者
荻田 堯 八田 博司 鍵谷 勤
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.11, pp.1664-1669, 1983-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
7

各種トリハロメタン水溶液に室温で低圧水銀灯の紫外線を照射すると,トリハロメタンの濃度はしだいに減少し,CO, CO2, HCl, HBrなどが生成した。クロロホルム水溶液の場合にはO2が存在する必要があり,バイコールフィルターを用いると反慈は起こらない。また,本反応の物質収支から,クロロホルムの分解はつぎの反応式で表わされる酸化反応であることがわかった。他方,CHBrCl2, CHBr2Cl, CHBr3などのブロモ置換メタン類の場合にはO2が共存する必要はなぐ,反応速度はバィコールフィルターの有無によらない。また,プロモ置換体の分解速度はクロロホルムよりも非常に大きく,HCl, HBrおよびCOが生成した。これらの場合の物質収支から,プロモ置換体の反応はつぎの反応式で表わされる加水分解反応であることがわかった。
著者
鍵谷 勤
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.667-674, 1980-09-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
68
著者
荻田 堯 八田 博司 西本 清一 鍵谷 勤
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.5, pp.970-975, 1985-05-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
25
被引用文献数
2

空気存在下,室温でクロロホルム水溶液にバイコールフィルターを装着した低圧水銀灯の紫外線を照射してもクロロホルムは分解しなかった。この系にH2O2を添加すると,H2O2の光分解によって生成する。OHと反応してクロロホルムは分解し,CO2とHCIを生じた。アルゴン雰囲気においてH2O2水溶液にパイコール透過光を照射すると,H2O2の分解によって生成した,OHからO2を生成した。この系にクロロホルムを添加すると,クロロホルムの添加量とともにO2生成反応の量子収量は減少し,クロロホルム分解反応の量子収量が増大した。また,両反応量子収量の和が一定であったことから,クロロホルム一分子の分解には二分子の・OHが消費されていることが示唆された。プロモジクロロメタン水溶液にH2O2を添加してバイコール透過光を照射すると,H2O2無添加系にくらべて,CO生成量が減少してCO2生成量が増大した。各種トリハロメタン水溶液にH2O2を添加した場合のCOの生成量とCO,生成量の比はトリハロメタンとH2O2に吸収される254nmの光量比に比例した。このことから,・OHとの反応が起こる場合には,トリクロロメタンの塩素を臭素で置換したものもCO2に分解することがわかった。これに関連して,γ 線照射やFenton試薬を用いて含臭素トリハロメタンの反応を調べたところ,COはほとんど生成せず,おもにCO2が生成した。
著者
鍵谷 勤 武本 勝雄 川添 渉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1976, no.6, pp.935-940, 1976
被引用文献数
3

クロロジフルオロメタン(CHCIF<SUB>2</SUB>),クロロトリフルオロメタン(CCIF<SUB>3</SUB>),ジグロロジフルオロメタン(CC1<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>),1,1-ジフルオロエタン(C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>F<SUB>2</SUB>),プロモクロロジフルオロメタン(CBrCIF<SUB>2</SUB>),プロモトリフルオロメタン(CBrF<SUB>3</SUB>),2,2-ジフルオロエチレン(C<SUB>2</SUB>H<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>),クロロトリフルオロメタン(C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>)あるいはテメラフルオロエチレン(C<SUB>2</SUB>F<SUB>4</SUB>)などの各種フルオロカーボンを1000ppm含有する空気に,室温で水銀灯の光を照射した。空気中に存在するCCI<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>およびC<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>の光分解反応は,アルゴン中に存在するときより速くなった。CCI<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>を含有する空気に100Wの高圧水銀灯を照射すると,光照射後の気体中に一酸化炭素および二酸化炭素が認められた。フルオロカーボン類,クロロフルオロカーボン類,不飽和フルオロカーボン類および不飽和クロロフルオロカーボン類の初期分解度(単位時間あたりの分解率)は,紫外線の波長の短いほど大きくなり,プロモフルオロカーボン類の場合には波長の長いほど大きくなった。高圧水銀灯(100W)の光を照射したときの,C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>の初期分解度はCCI<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>の場合の約1000倍であり,CBrCIF<SUB>2</SUB>の場合の約50倍であった。また,C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>は太陽光線の照射によっても分解し,3日間の屋外曝露で約60%分解した。しかしながら,CC1<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>の分解は1週間の屋外曝露によってもまったく起こらなかった。C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>の光酸化分解反応は塩素やオゾンによって促進されるが,CCI<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>およびCBrCIF<SUB>2</SUB>の分解反応は,いずれの場合にも促進されなかった。一方,CF<SUB>4</SUB>やC<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>F<SUB>2</SUB>などはオゾンの分解反応に影響を与えなかったが,C<SUB>2</SUB>CIF<SUB>3</SUB>およびCBrCIF<SUB>2</SUB>はオゾンの分解反応を促進した。オゾンとCl<SUB>2</SUB>F<SUB>2</SUB>の両方を含有する空気に高圧水銀灯の光を照射した場合のオゾンの初期分解度とCCI<SUB>2</SUB>F<SUB>3</SUB>の初濃度の対数との間に直線関係がなり立った。