著者
長久 真理子 山口 豊一
出版者
教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:18802621)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.51-60, 2021

本稿は,被援助志向性研究の動向を概観し,これらの研究の課題を論じることによって被援助志向性の研究を展望し,研究・実践上の課題を示すことを目的とする。厚生労働省(2020)が2020年3月から5月に行った調査では,コロナ禍で抑うつ状態になる学生,人間関係に不安を感じている学生が増えている。また,文部科学省(2020)が行った「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」では,いじめの認知件数が過去最多を更新した。このような状況を鑑みると,子ども達への支援の充実は喫緊の課題であると考えられる。子どもの身近な援助者には,養育者,友人,教師,心理教育的援助サービスを提供する専門家などがいる。子ども達が様々な援助者に援助を求めるかどうかという被援助志向性を知ることは重要である。そこで,本稿では,日本で発表された被援助志向性の研究動向を小学生,中学生,高校生と対象ごとに分類し展望した。