- 著者
-
長井 俊夫
- 出版者
- 公益社団法人 日本航海学会
- 雑誌
- 航海 (ISSN:0450660X)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, pp.27-37, 1983
本年2月に我が国も署名した海洋法条約(正式には,海洋法に関する国際連合条約という。)が発効した場合,条約に加盟した沿岸国の大陸棚の範囲は,原則として200海里までとなる。しかしながら,その沿岸国が10年以内に科学的,技術的データを国連の大陸棚の限界に関する委員会に提出して200海里以遠まで大陸縁辺部であることを証明し,大陸棚の限界を表示した海図を国連事務総長に寄託すれば,その大陸縁辺部までを沿岸国の大陸棚とすることができることになっている。我が国周辺海域においても,特に本州南方海域では200海里を超えて我が国の大陸棚として主張できる可能性があると考えられており,早急にこの海域の詳細な海底地形・地質構造等の調査を行い国連に提出する資料を整備しておく必要がある。このため,海上保安庁では本年10月から水路部に大陸棚調査室を設置するとともに,最新鋭観測機器を搭載した新造大型測量船「拓洋」(2,600総トン)を使用して大陸棚の調査を開始する予定である。