著者
山田 和男 神庭 重信 大西 公夫 水島 広子 長尾 博司 梅山 千香代 寺師 睦宗 浅井 昌弘
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.603-607, 1997-01-20
被引用文献数
1 1

発病または急性増悪により入院し, 4〜12週間のハロペリドールを中心とした抗精神病薬の治療により活動期症状が改善し, 精神症状が安定した後に抗精神病薬の投与量が最低2週間以上固定された精神分裂病圏の患者10名に対し, 黄連解毒湯を4週間追加投与した。黄連解毒湯の追加投与直前, 投与終了時, 投与終了4週後にそれぞれBrief Psychiatric Rating Scale (BPRS)を用いて症状評価を行なった結果, BPRS総得点は, 黄連解毒湯の追加投与直前と比較して投与終了時, 投与終了4週後ともに有意に減少した。症状別では, 「罪業感」, 「抑うつ気分」, 「疑惑(被害妄想)」, 「興奮」に有意な改善がみられた。さらに, 血中ハロペリドール濃度には変化がみられなかったことより, 精神症状の改善がハロペリドールの血中濃度の変化によるものではないということが示唆された。また, 副作用はみられなかった。