著者
山田 和男 神庭 重信 大西 公夫 水島 広子 力石 千香代 福澤 素子 村田 高明 寺師 睦宗 浅井 昌弘
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.17-24, 2001-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1

現代医学的な血液生化学検査や精神症状評価などの結果より,「胸脇苦満」を分析しようと試みた。120例 (男性23例, 女性97例, 平均年齢42.4±16.2歳) を対象として, 胸脇苦満の程度と有無の評価, 血液生化学検査, Zung の Self Depression Scale (SDS), the Subjective Well-being Inventory (SUBI) を行った。93例 (77.5%) において, 左右いずれかもしくは左右ともに胸脇苦満を認めた。右側の胸脇苦満の「有」群と「無」群との間では, 血中クレアチニン値とSUBIの因子11 (人生に対する失望感) とで有意差を認めた。また, 左側の胸脇苦満の「有」群と「無」群との問では, SUBIの因子9 (身体的不健康感) と因子11とで有意差を認めた。以上の結果より, 強いストレッサー下にある症例ほど胸脇苦満を呈しやすいという結果が導き出された。
著者
斎藤 寿昭 加藤 元一郎 鹿島 晴雄 浅井 昌弘 保崎 秀夫
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.223-231, 1992
被引用文献数
24

脳損傷者53例, 健常者24例に頭文字およびカテゴリーによる Word Fluency Test および Modified Stroop Test を施行した。前頭葉損傷群の頭文字による Word Fluency Test の成績は他部位皮質損傷群に比較し有意に低下していた, 次に前頭葉損傷群において, Word Fluency に対しステレオタイプの抑制障害が与える影響を発動性要因を考慮した上で検討した。すなわち, ModifiedStroop Test の単純な色名呼称に要する時間を用い, 前頭葉損傷群を発動性低下が強いと考えうる群と発動性低下が少ないと考えうる群に分けたところ, 後者で頭文字による Word Fluency Test の成績と Modified Stroop Test における抑制障害の指標との間に負の相関が認められた。したがって, 発動性欠如の程度が軽度と考えうる前頭葉損傷群における Word Fluency にはステレオタイプの抑制障害が関与すると考えられた。
著者
永井 哲夫 海老原 務 新谷 博明 須佐美 英作 大橋 淳 宮岡 等 酒泉 和夫 藤野 雅美 矢島 正隆 浅井 昌弘
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.438-447, 1989-04-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1 13

Tw enty patients with typical glossodynia were examined from a psychological aspect.They all had premorbid inclination toward hypochondriasis and obsession (e. g., punctiliousness, or extreme perfectionism).Perseveration in response to “ superficial sensation of paresthesia of the tongue” occurring secondary to dental treatment or onset of stomatitis was the basis of the symptoms. According to time-course changes in the symptoms, patients attributed an erroneous significance to normal oral tissues, by which the lingual tonsil and lingual papilla were recognized as abnormal. They also showed signs of “ cancerphobia” because they were in the cancer-associated age group or had a past or present history of cancer in their near relatives. These findings, which are three important causative factors of this condition, were found to be common
著者
山田 和男 神庭 重信 大西 公夫 水島 広子 長尾 博司 梅山 千香代 寺師 睦宗 浅井 昌弘
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.603-607, 1997-01-20
被引用文献数
1 1

発病または急性増悪により入院し, 4〜12週間のハロペリドールを中心とした抗精神病薬の治療により活動期症状が改善し, 精神症状が安定した後に抗精神病薬の投与量が最低2週間以上固定された精神分裂病圏の患者10名に対し, 黄連解毒湯を4週間追加投与した。黄連解毒湯の追加投与直前, 投与終了時, 投与終了4週後にそれぞれBrief Psychiatric Rating Scale (BPRS)を用いて症状評価を行なった結果, BPRS総得点は, 黄連解毒湯の追加投与直前と比較して投与終了時, 投与終了4週後ともに有意に減少した。症状別では, 「罪業感」, 「抑うつ気分」, 「疑惑(被害妄想)」, 「興奮」に有意な改善がみられた。さらに, 血中ハロペリドール濃度には変化がみられなかったことより, 精神症状の改善がハロペリドールの血中濃度の変化によるものではないということが示唆された。また, 副作用はみられなかった。