著者
柳川 堯 小西 貞則 百武 弘登 内田 雅之 二宮 嘉行 川口 淳 長山 淳哉 野中 美祐
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

高次因果モデリングの有力な手法として、グラフィカルモデリングが提案されているが、連続変量の場合多次元正規分布が仮定されており、制約的でしかも線形関係だけが対象とされている。これを、高次非線形因果モデリングに拡張することを狙って順位相関係数を利用する理論を発展させ手法を開発した。また、分担者の協力を得てその計算アルゴリズムを開発しシミュレーションを行いその有効性を評価した。さらに、共同研究者から提供されたデータに適用し乳幼児の甲状腺機能、免疫機能に与える環境汚染物質のインパクトを明らかにした。その他、潜在構造モデルを用いる離散型変数、連続型変数混在の場合のグラフィカルモデリング、時系列データに関するグラフィカルモデリング、ノンパラメトリック共分散分析のグラフィカルモデリングに関して分担者と共同研究を行い、いくつかの価値ある結果を得た。これに関する基礎研究においても、以下のような成果をえた。・超高次元データから有益な情報やパターンを抽出するための手法開発に取り組み,基底展開法を用いた次元圧縮と圧縮したデータ集合に基づく識別・判別問題を定式化し,新しい解析手法を提唱した.開発した解析手法をシステム工学,生命科学の分野の問題に応用し,その有効性を立証した.・繰り返し測定値に対する非線形モデルのパラメータの関数について、コントロールとの多重比較のための同時信頼区間の近似を与え、その精度をシミュレーションにより検証した。・小さな拡散をもつ拡散過程に従う離散観測データから,未知のドリフトパラメータを推定する研究を行った.具体的には,条件付き期待値をIto-Taylor展開を用いて近似することにより近似マルチンゲール推定関数を構成した.それから得られる推定量が非常に弱い条件の下で漸近有効性をもつことを証明した.