- 著者
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長島 弘道
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- 地理学評論 (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.1, pp.60-75, 1969-01-01 (Released:2008-12-24)
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
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戦後の日本農業のひとつの特色は商業的農業の著しい発展である.本稿では,成長部門の一環として養鶏業をとりあげ,その発展過程,経営形態を中心に検討を試みようと思う. 養鶏業には二つの発展期が認められる.第一期は昭和20年代後半であり,第二期は30年代後半である.前者は飼料事情の好転と鶏卵市場の拡大によって飼養羽数が増大した時期であり,後者は農業経営の体質改善という農村内部からの動きによって養鶏が導入され,専業化が進んだ時期である. 今日,養鶏には副業養鶏を別にして,専業養鶏,企業養鶏,協業・集団養鶏の三つの経営形態がある。専業養鶏は家族労働を主体としているのに対して,企業養鶏は常時雇用労働力を導入している.両者とも大.市の近郊に立地しているが,最近企業養鶏は外延的に立地移動し,分散化の傾向がみられる.協業.集団養鶏は全国的に分散している.