著者
小幡谷 英ー 則元 京 長松 正明
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.24-29, 1995-12-25 (Released:2017-06-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

7種類の材質のクラリネット用リードを作製し, 奏者による官能検査を行った。そして, 奏者によるばらつきの小さかった音色の良さの心理量を, リードに用いた材料の幾つかの物性値と比較した。音色の心理量Tmと, リードの長さ方向の音速V_Lとの間には, 正の相関が, 幅方向の動的ヤング率E_Wとの間には, 負の相関がそれぞれ存在した。その結果, T_mとlog(V_L^7/E_W)との間には, 良好な直線関係が認められた。プラスチック材料のリードのT_mが低かったのは, その物性値が等方的であるためと推察された。一方, アカエゾマツやキリで作られたリードのT_mが, 葦(Arundo donax L)で作られたリードのそれよりも高く評価された。この結果から, ある種の木材を葦の代替材として用いる可能性が示唆された。