著者
池永 昌容 長江 拓也 マコーミック ジェイソン 勝尾 美香 中島 正愛
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.73, no.629, pp.1185-1191, 2008-07-30
参考文献数
18
被引用文献数
1

Shear friction between the steel base plate and base mortar contributes to the shear resistance of standard column bases. A value of 0.5 is adopted as the coefficient of shear friction in All's design specifications, but the associated background data are limited. To investigate the dynamic shear resistance behavior between the base plate and mortar, a shake table study is undertaken using a large rigid mass supported by steel contact elements that rest on mortar surfaces fixed on the shake table. Horizontal input accelerations are considered for various magnitudes and frequencies. The results provide a constant friction coefficient during sliding with an average value of 0.78. Comparisons with previous test and numerical analysis are also carried out, and good correlation among them is noticed.
著者
長江 拓也
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

現行の設計指針類での露出柱脚の終局せん断特性の評価では,露出柱脚ベースプレートと基礎モルタルの摩擦による最大耐力とアンカーボルトのせん断耐力のうち大きい方を柱脚せん断耐力としている。柱脚負担せん断力が最大摩擦耐力に達し,すべりが生じたのちも一定の摩擦抵抗力が保持されるならば,適切なモデル化を通して強度の加算も可能と考えられるが,実験的裏づけが不足しているため,現状の評価では一旦すべりが生じたのちの摩擦抵抗は考えていない。摩擦係数にして0.5を超えるせん断耐力が安定的に発揮されるとすれば,アンカーボルトのない柱脚,つまり基礎に緊結しない柱脚の可能性や,鋼とモルタルをダンパー材料として用いる損傷制御型柱脚の現実味がおびてくる。本研究はでは,露出柱脚と基礎モルタル間の摩擦実験システムを振動台上に構築し,鋼とモルタル間に動的な多数回繰返しすべりを生じさせることで,すべり進行時における動摩擦抵抗を検証した。得られた知見は以下に示すとおりである。(1)静止摩擦係数:多数回の繰返しすべりに対して静止摩擦係数は常に安定していた。入力波の振幅と振動数に依存せず,静止摩擦係数はほぼ一定であり,実験値の平均値は0.78であった。(2)動摩擦係数:本加振条件下における,すべり時の動摩擦係数は静止摩擦係数と等しく,すべり進行時における摩擦抵抗力は一定となった。つまり,水平外力は静止摩擦を経て,すべり出した後も同等の摩擦抵抗を発揮する。これは,露出柱脚のせん断耐力をアンカーボルトのせん断耐力と摩擦抵抗力の足し合わせによって評価することの可能性を示唆するものである。(3)数値解析による摩擦挙動の再現:すべり時の動摩擦係数を一定と仮定した剛塑性モデルを用いる数値解析では,ほぼ実験で得られた摩擦係数において実験結果のすべり応答を再現でき,すべり応答を通して解析から与えられる動摩擦係数が鋼構造接合部設計指針等で用いられる摩擦係数0.5を上まわることを確認した。