著者
長沢 孝司
出版者
日本福祉大学福祉社会開発研究所
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 = Journal of Culture in our Time (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
vol.136, pp.15-41, 2017-09-30

現代の若者は,職場の「いい人間関係」を求め,「人に役立つ仕事をしたい」と願っている.これは人間の本性に基づく正当な要求である.しかし企業の労務管理はその逆の方向に進んでおり,労働者内部の格差拡大,長時間労働,目標管理などによって,若者の思いは水面下に押し込まれて屈折している.これは結果的には日本企業にとって持続的な発展を抑止している.しかし若者労働者は,その困難の中でも自己発達の道を様々な形で模索している.若者は職場の現実を変革する努力を通じて,「いい人間関係」をつくり,「人に役立つ仕事」を目指そうとしている.こうした動きは,先進諸国に共通して現れている現象である.
著者
安田 元 薩田 英久 池田 弓子 進藤 芳雄 長沢 孝 石井 當男 池澤 善郎
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.485-490, 1993

晩発性皮膚ポルフィリン症 (PCT) が慢性腎不全血液透析患者に合併することが報告されているが本邦では症例は少ない. 慢性腎不全では尿検査からポルフィリン代謝異常を証明することが困難であったことが少ない理由の1つであるが, 本例では特徴的皮膚症状を示し, 糞便中, 透析液中ポルフィリンを分析検討し診断し得た. 症例は慢性糸球体腎炎を原疾患とする慢性腎不全の女性 (37歳) である. 血液透析導入7年後より顔面, 手背の色素沈着, 水疱, 糜爛, 色素脱を伴う小瘢痕を示すようになった. 皮膚生検にてPCTを疑わせた. 本症例と対照として同様の病歴を持つ皮膚症状のない女性慢性腎不全血液透析患者4例を選び, 1日排泄糞便中ポルフィリン量, ダイアライザー; EL201-12R (ethylene vinyl alcohol膜, 膜面積1.2m<sup>2</sup>, 血液流量200m<i>l</i>/min, 透析液流量500m<i>l</i>/min) 使用時, 透析開始1, 3時間後の透析液中ポルフィリン濃度を測定した. 糞便検査では, 患者は対照に比べ, 高uroporphyrin (URO), 高coproporphyrin (COPRO), 高heptacarboxyporphyrin (HEPTA) 排泄を示した. また, URO/COPRO比, HEPTA/COPRO比はいずれも対照に比べ高値であった. 透析液中URO, COPRO濃度も, 透析開始1, 3時間後いずれも対照と比し高値を示した. これらの結果はPCTにおけるポルフィリン代謝異常に一致し, 慢性腎不全血液透析に合併したPCTと診断した. 本例では, 誘因と考えられる鉄剤, 水酸化アルミニウムゲルの使用中止, 鎮痛剤投与量の漸減, さらにダイアライザーと血液回路を遮光し, 皮膚の日光暴露を極力避けることにより皮膚症状の改善と, 糞便中ポルフィリン比の低下を認めた.