著者
長瀬 和雄
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF HYDOROLOGICAL SCIENCES
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.109-120, 2010 (Released:2011-03-25)
参考文献数
11

今日,世界の多くの国々では,安全な水道水を利用できない時代である。年降水量の平均値が高い日本は,降水と地下水に恵まれた国であると言える。我々日本人は注意して地下水を飲用してきたが,日本は地下水管理の面で決して先進国とはいえない。本稿では,神奈川県秦野市を地下水管理の成功例として取り上げ,その地下水管理の方針を示す。秦野市ではこれまで長年にわたって神奈川県温泉地学研究所及び秦野市が研究活動と行政を通して地下水の管理の方法を開発してきた。地下水は土地と深く結びついていて,その管理にはそこに生活する人々の意志が十分反映されなくてはならない。もし我々が地域の水循環や環境をもっと詳しく調べれば,効果的に地下水を利用することができる。