著者
有賀治樹 岡明也 橋本学 長田典子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.11, pp.1-6, 2013-08-24

本稿では,演奏者によらず使用できる,マーカレス・ピアノ運指認識手法を提案する.距離画像中のわずかな手掛かりをもとに指先候補位置を多数検出し,ピアノキー位置との対応を確率的に表現したものを仮説群として生成する.各仮説から手全体の姿勢を推定して画像化し,入力距離画像との手全体の整合性を求めることによって最尤仮説を決定する.このとき,各指先 (親指~小指) の存在確率マップを用いて指先候補位置を確率的に表現し,仮説の尤度に反映させる.汎用 3-D ハンドモデルを用いて仮説をオンラインで画像化することにより,個人ごとの事前の実データ学習が不要となり,演奏者固有の演奏時の手の姿勢に影響されにくい,汎用的な運指認識を実現した.計 128 音からなる初心者向け楽曲を用いた実験により,認識成功率 88% を確認した.
著者
岡明也 有賀治樹 杉山健太朗 橋本学 長田典子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.10, pp.1-4, 2013-08-24

ピアノ演奏の練習において,特に初心者の場合には正しいキーを正しい運指で弾くという基本的な練習が重要であることから,演奏状況をモニタリングし,客観的な誤りをタイムリーに提示するピアノ演奏スキル評価システムが望まれている.本研究では,2 つの要素技術を組み合わせることによってこれを実現した.1 つめは,楽譜上の音符と実際に打鍵されたキーを照合する音列照合技術である.練習時には未打鍵や余打鍵の発生に加えて,正しい演奏でも多少の揺らぎが発生するため,DP マッチングに基づいて柔軟な照合を実現した.2 つめは運指認識であり,練習中の自然な演奏を妨げないために,距離センサで得られた動画像列に汎用 3D -ハンドモデルを適用する仮説検証型手法を提案した.実際の楽曲を用いた実験評価により,単純マッチングに比べ検出数約 83% 削減でき,処理時間 0.6 秒を確認した.
著者
藤澤隆史 NormanD Cook 長田典子 片寄晴弘
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.39(2006-EC-004), pp.9-14, 2006-05-03

和音/和声(chord/harmony)は,メロディ(melody),リズム(rhythm)とともに音楽を形作る重要な要素である.音楽の物理的な音響的特徴とその心理的な印象や感性との関連性について定量的に評価するために,本研究では和音性についての評価モデルを構築した.和音性は,(1)協和度(心地よい-わるい,澄んだ-濁った),(2)緊張度(緊張した-落ちついた),さらに長調か短調かといった性質を決定する(3)モダリティ(明るい-暗い,うれしい-悲しい)から構成される.本研究において提案されたモデルと,これまで経験的に知られている様々な和音タイプおよび得られた実験データとの整合性を確認し,妥当性の検討を行なった.
著者
藤澤隆史 NormanD Cook 長田典子 片寄晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.39, pp.9-14, 2006-05-03

和音/和声(chord/harmony)は,メロディ(melody),リズム(rhythm)とともに音楽を形作る重要な要素である.音楽の物理的な音響的特徴とその心理的な印象や感性との関連性について定量的に評価するために,本研究では和音性についての評価モデルを構築した.和音性は,(1)協和度(心地よい-わるい,澄んだ-濁った),(2)緊張度(緊張した-落ちついた),さらに長調か短調かといった性質を決定する(3)モダリティ(明るい-暗い,うれしい-悲しい)から構成される.本研究において提案されたモデルと,これまで経験的に知られている様々な和音タイプおよび得られた実験データとの整合性を確認し,妥当性の検討を行なった.A psychophysical model designed to explain the phenomena of resolved/unresolved harmonies and the major/minor modalities in traditional Western diatonic music is presented. The model uses solely the acoustical features of the pitch combinations for calculation of the total"dissonance","tension"and"modality"of chords. Dissonance is defined as a 2-tone effect, similar to the model of Plomp&Levelt. Tension is defined as a3-tone effect due to the relative size of intervals,following the"intervllic equivalence" by Leonard Meyer. The total sonolity of any number of tonal combinations can be computed on the basis of these two concepts.