著者
長谷川 千秋
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

『和字正濫鈔』における契沖の仮名遣研究の本質とは、定家仮名遣などの仮名遣書にあるような「どの仮名で書くか」という仮名遣の規範を示すことにあるのではなく、語が本来、「どのような音をもち」、「その音がどのような仮名で現され」、さらに「どのような意義をもつか」という形音義を示すことにあることを明らかにした。『和字正濫要略』は、その題名の通り『和字正濫鈔』の抄出のように見えるが、仮名遣書として仮名遣の規範を示すに止まり、編纂方針に大きな方向転換があることを明らかにした。契沖の『和字正韻』は、契沖が字音仮字遣の研究を行っていた証左となる文献であることを明らかにした。