著者
乾 善彦
出版者
関西大学アジア・オープン・リサーチセンター
雑誌
KU-ORCASが開くデジタル化時代の東アジア文化研究 : オープン・プラットフォームで浮かび上がる、新たな東アジアの姿
巻号頁・発行日
pp.47-59, 2022-03-31

The Kansai University Library has many textbooks, those have many notes written into by scholars of the Japanese classics in late Edo period. This paper explains how much information can be gained by digitizing the text. For example, Yoshitaka Iwasaki's "Hyakunin Isshu Kaikansho" contains notes by Motoori Norinaga. Yoshitaka wrote Norinaga's notes in red ink, and then added his thoughts in light black ink. There are many other materials in which have Norinaga's notes, and by organizing them, we can learn how scholars of the Japanese classics studied the master's thinkings. The Kansai University Library has "Manyoshu" texts, those have many notes writen into Norinaga's thinking. One of texts is very similar to Norinaga's autographed text, that is Motoori-norinaga-kinenkan has. Another text has Nagase Masaki's notes. This is written with three colors ink, red blue and black. Red is Norinaga's notes, blue is another person's notes, and black ink is his own notes. In this way, a lot of information can be read by digitizing the text and organizing notes of meny texts written into by scholars of the Japanese classics in late Edo period.
著者
乾 善彦
出版者
関西大学なにわ大阪研究センター
雑誌
なにわ大阪研究
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-8, 2021-03-31

本稿は科学研究費補助金基盤研究(B)(代表:田中大士)および基盤研究(C)(代表:佐野宏)の研究成果の一部でもある。
著者
乾 善彦
出版者
関西大学国文学会
雑誌
國文學 (ISSN:03898628)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.428-418, 2017-03-01

2015年度関西大学国内研究費
著者
乾 善彦
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、日本語の文章の史的展開の中で、文字および表記体が文体に対してどのように関わってきたかを明らかにするものである。文字については、漢字専用時代の漢字の用法としての仮名が、諸文体の中でどのように機能していたかという点に関して、従来、対立的にとらえられていた記紀万葉集と木簡・正倉院文書との仮名に共通する基盤のあることを指摘し、共通する基盤からそれぞれの位相において、その文体に応じた字母が選択されることを明らかにした。表記体のついては、歌と散文との関係において、散文の表記体と歌の表記とのあいだに、それぞれのテキストに応じた選択意識が働いており、中国の仮借の用法からはじまる日本書紀歌謡の方法と、いわゆる変体漢文と仮名との対立による古事記歌謡の方法、割り書きという注補入形式という風土記歌謡の方法とが、古代において成立していること、その様式は、歌が定型か非定型かによって仮名書きになるか宣命書きになるかという対立へと展開し、やがて、文字としての仮名成立以降は、漢字対かなの対立へと展開する.ことを明らかにした。文字としての仮名(ひらがな・カタカナ)成立以降は、表記体の転換によって、表記体と文体とが微妙な差異を生じせしめる。その様子は、三宝絵、平家物語諸本の分析によって、明らかになった。つまり、三宝絵の場合は、成立時の表記体はひらがなであるが、原資料の漢文的な要素が色濃く出ているが、それでも漢字仮名交じりの伝本と比べると和文的要素が強く、それは真名本との対照によって知られる。また、平家物語の原体は漢字仮名交じりであったと推定されるが、そこには、漢文的要素がそのままの形で混入されることがあり、和漢混清の原初的な様相を示している。それは、表記体がひらがなへと移行しても、保存される傾向にあるが、やはり、和文的要素が入り込んでくることが指摘される。