著者
永田 高志 長谷川 学 石井 正三 橋爪 誠
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.47-51, 2017-01-20 (Released:2017-01-20)
参考文献数
11

アトランタオリンピックは,1996年7月19日から8月4日までアメリカのアトランタで行われた第26回夏季オリンピックであり,近代オリンピック開催100周年記念大会であった.爆弾テロ事件の概要は,大会7日目の7月27日午前1時20分頃にセンテニアル公園の屋外コンサート会場でパイプ爆弾による爆破事件が発生し,死者2名,負傷者111名の多数傷病者事案となった.死者2名のうち1名は爆発物の釘による頭部外傷によるものであり,もう1名は心不全であった.111名の傷病者のうち96名は事件発生後30分以内に爆発地点から半径5km以内の4つの病院に搬送された.外傷センターに搬送された35名中10名に対して緊急手術が行われ,市中病院に搬送された61名のうち4名に対して手術が実施され,すべて救命することができた.2020年東京オリンピックを控える日本にとってアトランタオリンピック爆弾テロから3つの教訓,事前の医療公衆衛生体制の構築,多数傷病者対応のための医療機関の準備,緊急時における情報伝達・コミュニケーションの難しさ,があげられる.2020年東京オリンピックでは爆弾テロを含めた様々な事案が起こるという最悪の想定のもとで,限られた時間と予算,資源の中で準備を進める必要がある.
著者
永田 高志 長谷川 学 石井 正三 橋爪 誠
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.47-51, 2017

<p> アトランタオリンピックは,1996年7月19日から8月4日までアメリカのアトランタで行われた第26回夏季オリンピックであり,近代オリンピック開催100周年記念大会であった.爆弾テロ事件の概要は,大会7日目の7月27日午前1時20分頃にセンテニアル公園の屋外コンサート会場でパイプ爆弾による爆破事件が発生し,死者2名,負傷者111名の多数傷病者事案となった.死者2名のうち1名は爆発物の釘による頭部外傷によるものであり,もう1名は心不全であった.111名の傷病者のうち96名は事件発生後30分以内に爆発地点から半径5km以内の4つの病院に搬送された.外傷センターに搬送された35名中10名に対して緊急手術が行われ,市中病院に搬送された61名のうち4名に対して手術が実施され,すべて救命することができた.2020年東京オリンピックを控える日本にとってアトランタオリンピック爆弾テロから3つの教訓,事前の医療公衆衛生体制の構築,多数傷病者対応のための医療機関の準備,緊急時における情報伝達・コミュニケーションの難しさ,があげられる.2020年東京オリンピックでは爆弾テロを含めた様々な事案が起こるという最悪の想定のもとで,限られた時間と予算,資源の中で準備を進める必要がある.</p>
著者
永田 高志 王子野 麻代 寺谷 俊康 長谷川 学 石井 正三
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.275-279, 2015 (Released:2015-12-26)
参考文献数
2

インシデントコマンドシステム(ICS)は,米国で開発されたあらゆる災害対応において,組織の運用を標準化したマネジメント体型であり,本邦では緊急時総合調整システムと紹介されている。指揮統制や調整,組織運用などが標準化されていることが特徴であり,米国では災害対応のみならずマラソンやスポーツイベントなど,あらゆる危機管理事案がこのインシデントコマンドシステムに基づいて実施される。インシデントコマンドシステムは次の6つの要点でまとめられる。
著者
長谷川 学 塚本 直也
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.782-785, 2009-09-15
被引用文献数
1 2

In accordance with the Declaration of the Environment Leaders of the Eight on Children's Environmental Health (Miami Declaration) in 1997, the Japanese government (the Ministry of Environment, Japan) organized a commission tasked to discuss issues related to the present situation of the environmental health of children (Advisory Commission for Children's Environmental Health). Epidemiological research on children's environmental health has been recommended as one of the priority projects by the commission because the effects of environmental factors on children's health are clarified by only studies using children as subjects, particularly, a birth cohort study, and not by animal experiments. The Advisory Committee of Epidemiological Research on Children's Environmental Health was established in 2007 and decided to start a nationwide birth cohort study following up children from pregnancy to 12 years old. Under the Advisory Committee, a working group composed of scientific experts, including epidemiologists, toxicologists, obstetricians, orthopedists, and statisticians, was organized in 2008. Pilot studies are going to be conducted in several areas in Japan with the support of the working group. Study hypotheses will also be decided by the working group soon. The full-scale survey will start in 2010.<br>