- 著者
-
小林 文彦
古川 仁
長谷川 紀昭
吉崎 敏夫
原田 喜男
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学療法学会
- 雑誌
- CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.Supplement7, pp.1007-1028, 1980-11-25 (Released:2011-08-04)
- 参考文献数
- 8
SPRAGUE-DAWLEY系ラット雌雄に6059-Sの760, 1, 260, 2, 100および3, 500mg/kgとCEZの760, 1, 260mg/kgを1日1回連続35日閥静脈内投与し, 毒性を比較検討した。なお, 一部の動物については, 最終投与後, さらに28日間の休薬期間をおき回復性をみた。6059-Sの高用量投与群とCEZ投与全群に, 毎回の投与後一過性の呼吸困難や脱力および顔面浮腫などがみられ, 投与期間中, 6059-S 3, 500 mg/kg投与群の雌雄各2/16例とCEZ 1, 260 mg/kg投与群の雄10/24例が, いずれも急性中毒症状を呈して死亡した。投与期間終了時点の血液検査で6059-S 3, 500mg/kg投与群に軽度の貧血がみられた。生化学分析では, CEZ投与群に血漿GOT, GPT活性の著しい低下があった。病理所見では, 6059-SおよびCEZ投与全群の盲腸の異常拡張を認めたのみで, その他に特記すべき著変はなかった。なお, 以上の変化は, 投与中止後の回復試験ですべて良好な回復性を示した。以上の結果から, 6059-Sのラットでの最大無作用量は1, 260 mg/kgと判断され。また, CEZとの毒性比較において, 6059-Sは毒性が極めて弱く, 安全性の高い化合物と結論された。