著者
長野 広之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.709-718, 2021-04-10

総論 platypnea(扁平呼吸)が「坐位で増強する呼吸苦」を,orthodeoxiaが低酸素血症を意味することからplatypnea orthodeoxia syndrome(POS)は「臥位で改善し坐位で悪化する呼吸苦に低酸素血症を伴う状態」を指します.姿勢変化の病歴が目立たず胸部画像で異常を呈しない場合,原因不明の低酸素血症や呼吸苦の原因になります.また後述のようにシャントが原因のことが多く,その場合酸素投与を行っても酸素化の改善が乏しいのが特徴です. POSの機序としては心内シャントと心外シャント,換気血流比不均衡があります.坐位になることにより右→左シャント量や換気血流比不均等が増加し低酸素血症が起こります.坐位への姿勢変化がどのようにPOSにつながるかについては各疾患の項で述べます.
著者
森川 暢 長野 広之 松本 真一 原田 拓 明保 洋之 官澤 洋平 大浦 誠 宇井 睦人 崎山 隼人 朴澤 憲和 近藤 猛 内堀 善有 藤谷 直明
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.128-131, 2021-09-20 (Released:2021-09-22)
参考文献数
11

近年,病院総合医の必要性や重要性が注目されているが,若手の病院総合医が活動できる場はなかった.今回,日本プライマリ・ケア連合学会に,主に10年目以下の若手病院総合医で構成される「病院総合医チーム」という組織を構築した.病院総合医チームの活動内容を報告し,その活動の意義と今後の展望について考察を行う.
著者
長野 広之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1984-1993, 2020-10-10

総論 神経炎は単神経炎(mononeuropathy),多発単神経炎(mononeuritis multiplex),多発神経炎(polyneuropathy)に分かれます.末梢神経の局在に沿っていれば単神経炎を,それが複数存在すれば多発単神経炎を,遠位優位の靴下・手袋型では多発神経炎を考えます.多発神経炎はまず足先から始まり,膝くらいまで広がったあたりで上肢にも指先から症状が出現し,重度の場合,臍部付近にも出現します. 多発神経炎は一般人口の2〜3%,55歳以上では8%に認める高頻度な症候です1).原因としては台湾の520例の多発神経炎の報告が参考になります(図1)2).個人的な経験ではビタミンB12/B1欠乏(本研究では栄養障害に含まれる)がもう少し多い印象があります.