- 著者
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安川 正敏
長野 慶一郎
- 出版者
- 鹿児島大学
- 雑誌
- 鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.82-93, 1958-10
腸管へのCa排泄を窺うために, 家兎について, つぎの実験を行つた.即ち, 結紮によつて腸管を小腸, 盲腸, 近側結腸及び遠側結腸の4部位に区分し, 内容の移出入を阻止した家兎に, ^<45>CaCl_2を皮下注射し, 一定時間後に致死, 各区分の内容乾物量を秤量し, この一部を灰化して, cpmを計測した.この測定値について, ^<40>K等の天然放射性同位体に基づくcpmを補正した後, これから腸管各部位に存在するcpmの総計を算出, 比較した.結果はつぎの通りに要約される.1.上記4部位の, いずれにも, ^<45>Caの排出が認められた.2.全腸管中に存在する^<45>Ca量に対する, 各部位の占める割合は, 雌, 雄ともに, 小腸と近側結腸が高く, 1位或は2位を占める.この両者につぐものは盲腸であり, 遠側結腸が最低であつた.3.妊娠期には, 小腸の占める割合が高まる.4.上述の成績は, 必しも各部位の, 真の排泄能を意味しないであろう.というのは, 腸管内における^<45>Caの再吸収が, ありうるからである.