著者
沢田 順弘 門脇 和也 藤代 祥子 今井 雅浩 兵頭 政幸
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.Supplement, pp.S51-S70, 2009 (Released:2012-01-26)
参考文献数
77
被引用文献数
2

山陰地方には主として玄武岩とデイサイトからなる第四紀火山が分布する.本見学旅行では,山陰中部の対照的な第四紀火山であるデイサイトからなる大山と,玄武岩からなる大根島-江島を見学する.大山は中国地方の最高峰,剣ヶ峰(1729 m)を主峰とする.火山活動は中期更新世(約100万年前)から始まり,1万7千年ほど前に終息している.一方,大根島-江島火山は宍道地溝帯中軸部において,19万年前に陸上で噴火した火山である.大山はデイサイト溶岩円頂丘や側火山,それらの周辺の火砕流や土石流堆積物,崩壊ないし崖錐堆積物,降下火山灰からなる.大根島は著しく粘性の低い玄武岩溶岩を主とする.給源の一つであるスコリア丘,天然記念物である溶岩トンネル,様々な形態の溶岩,火山地形,大山や三瓶山起源の広域テフラが観察できる.また,火山島の地下に普遍的に存在する淡水レンズを実感できる.