- 著者
-
関口 恭毅
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1997
(1)数理モデル作成の前段階である実際問題の整理とその記述を支援するために、汎実体一関連モデル(GERM)なる新しい情報モデルと、これに基づく問題記述法を提案し、かつ、これをデータベース化する方式を確立した。新方式をインプリメントした事例データベースのプロトタイプシステムを開発してその有効性を検証した。また、GERMによる問題記述によれば、最適化問題ばかりでなくシミュレーションの対象となる問題の記述も可能なことを明かにした。(2)教理モデルを純粋に数学的なオブジェクトとして定義し、これと対応する問題定義を「結合条件」と呼ぶ情報によって結びつける、多対多の対応付けを可能にする技術を確立した。これにより数埋モデルの再利用が容易になり、かつ、問題定義に対応する数理モデルの作成を支援する事例データベースの開発が可能になった。これらを検証する事例データベースのプロトタイプシステムを開発した。本方式では、モデル/データ独立が実現している。(3)ユーザが作成する数理モデルである「ユーザ定義モデル」とソルバーが前提とする数埋モデルである「標準モデル」およびソルバーオプションを「結合情報」によって対応づけてソルバーを起動する方式を開発するとともに、問題の数値例を上記のプロトタイプシステムに組み込む方式を開発した。これによってモデル/ソルバー独立が実現され、既存ソルバーの再利用が容易になるので、無駄な開発努力を省くことができる。(4)事例データベースのプロトタイプシステムを開発した経験から、オブジェクト型を記述の基本要素とするGERMは、ユーザにとって、その記述内容を直感的に理解することは必ずしも容易ではないことが分かった。そこで、オブジェクト・インスタンスを記述することでオブジェクト型を定義できるユーザインターフェースを提案し、その実現方法を構成した。