- 著者
-
吉村 貴子
前島 伸一郎
大沢 愛子
関口 恵利
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.4, pp.361-372, 2008-12-31 (Released:2010-01-05)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
-
2
1
時計の絵および指定された時刻を描く Clock Drawing Test (CDT) について,さまざまな実施および評価方法が提唱されている。それぞれの信頼性や妥当性などについての研究は多いが,多数の CDT 実施および評価方法を同一症例群に施行し比較した報告はない。今回われわれは,“もの忘れ”外来を受診した患者41 名 (男性11 名,女性30 名) に対して,さまざまな CDT 実施および評価方法を多く比較することにより,それらの信頼性と妥当性,そして認知症診断への役割について検討した。CDT の施行中の症例の様子と症例のプロフィールなどを知らない評価者2 名がそれぞれの CDT を採点した。 その結果,その他の神経心理学的検査と相関が高く,年齢や教育歴の影響を受けにくく,罹患期間をより評価し,また認知症の重症度や類型診断への一指標として有用な方法は,外円をあらかじめ示した CDT である可能性が示された。