著者
田坂 重元 大友 浩 関寺 恭朗
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.161-165, 1959-03-20 (Released:2011-02-17)
参考文献数
9

農村の乳児の骨系統の発育についての文献は余り見当らない。然し, 二, 三の文献から見ると一様に母体の妊娠中の偏食と過労などが原因し一方乳児期においては離乳の遅延と偏した離乳食などによって骨系統の発育に明かな障碍が起ってきている。北海道における, 乳児についての観察を行って見たのでその結果を要約すると, (240名についての統計)。(1) 離乳が都市より3~4ヵ月おくれ, 8~9ヵ月が一番多く行われていた。(2) 離乳食も14ヵ月迄は殆んどがおかゆ程度で副食は野菜物煮付が殆んどをしめ, 海藻類, 魚獣肉類やそのスープ類はやっていなかった。(3) 離乳未開始のものは栄養状態も悪く, 骨発育が劣っていた。(4) 未熟児は全出生児の10%をしめ, 未熟児の7割が栄養失調性クル病であり, 又, 重症型が多かった。(5) 未熟児は先天性股関節脱臼のものが24%いた。