著者
桑野 和民 関山 教子 永井 恵美子 津久井 亜紀夫 三田村 敏男
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.69-74, 1978-05-01

オキアミ生凍結ブロックを原料とした,たんぱく質濃縮物(KPC)の製造法を改良することを目的として,甲殻除去法の簡易化,たんぱく質回収法の検討を行ない,以下の結果を得た。1.遠心分離の温度を室温で行なうことにより,1回の遠心分離で,甲殻を含まない濃厚なペーストを,たんぱく質収率71.9%で得ることができた。2.ペーストからのたんぱく質濃縮物の製造は,イソプロピルアルコール法(IPA法),等電点沈でん法(IP法),加熱凝固法(HD法),で行なった。IPA法以外での沈でんの脱脂ほ,比較のために,同じ溶媒で行なった。3.IPA法,IP法,HD法によるKPCの収率は,重量で,それぞれ7.34%,6.04%,5.96%,たんぱく質で49.0%,40.6%,35.8%であった。4.たんぱく質回収後の残液について,Sephadex G-25によるゲルろ過を行なったところ,パターンの差から,IPA法の回収率が他法より良いことが確認された。5.外観,化学成分,ペプシン消化率を比較したところ,KPCとして不都合な値は認められなかった。以上の結果,KPCを製造するには,たんばく質の収量から見ればIPA法が最も良い結果となった。今後,甲殻の利用,たんばく質回収後の残液の利用等を含め,総合的に,良否を見きわめねばならない。