著者
鈴木 厚 関山 菜穂 小井戸 則彦 大曾根 康夫 美田 誠二 松岡 康夫 入交 昭一郎
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.53-59, 1995-02-28 (Released:2009-02-13)
参考文献数
21
被引用文献数
4 9

全身性エリテマトーデス(SLE) 193例(男性17例,女性176例)を対象にSLEの肝障害について検討した.肝障害は各患者の初診時からの全経過を調べTransaminaseが40IU/ml以上を認めた症例とした. SLE193例中78例(40.4%)に肝障害を認めた. Transaminase 1回のみの異常例では全例(34例)肝障害の原因は不明であった. Transaminase 2回以上高値例では44例中35例(79.5%)に確定診断を得た.肝障害の原因として原病によるものが12例と最も多く,ついで脂肪肝の9例であった.ウイルス性肝炎としてA型肝炎2例, B型肝炎2例, C型肝炎1例を認めた.自己免疫性肝疾患は3例で,自己免疫性肝炎2例,原発性胆汁性肝硬変1例であった.その他,胆石/胆嚢炎3例,薬物性肝障害(アスピリン1例,抗生剤1例) 2例,風疹による反応性肝障害1例を認めた.肝関連抗体については130例について検討し,抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎で1例陽性,抗ミトコンドリア抗体は原発性胆汁性肝硬変で1例陽性であった.