著者
深井 喜代子 阪本 みどり 田中 美穂
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.99-106, 1996
被引用文献数
5

水の経口摂取や運動, 温罨法が揚音に及ぼす影響を, 健康女性20名(28.9±6.9歳)を被験者に検討した.被験者を仰臥位にし, 下行結腸下部付近の皮膚にマイクロフォンを装着して心音計で揚音を増幅し, スパイクカウンターを介して揚音波形の1分間当たりの出現頻度を計測した.また, 腹部皮膚温も記録した.7℃, 500mlの冷水を経口摂取させると, 摂取後30分間は揚音出現頻度が有意に増加した.階段昇降を含む10分間の歩行をさせた結果, その後45分間は揚音は有意に増加した.温枕貼用, 又は電気毛布による腹部温罨法では, 後者の揚音増加効果がより著明であった.また, 各刺激中, ほとんどの被験者が揚音亢進時に腸蠕動を自覚していた.以上の結果から, 水又は運動負荷と腹部温刺激は揚音出現頻度を増加させ, 腸蠕動を亢進させうることが確認された.