著者
阪本 崇
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.35-45, 1999-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
25

消費者の選好を変化させる要因の一つとして消費の持つ学習効果が挙げられる。本稿では、短期的効用最大化、確率論的学習という2つの仮定の下に、マルコフ連鎖を利用してこの現象をモデル化する。その上で、市場には人的資本レベルの異なる複数タイプの個人が存在することを前提に市場における人口分布と需要量に関するシミュレーション分析を行い、その分析結果を踏まえ、文化的財の需要に対する価格政策と教育政策との効果を比較する。
著者
阪本 崇
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策研究 (ISSN:18818625)
巻号頁・発行日
no.2, pp.95-110, 2008-03

文化経済学の最も大きな理論的貢献である「ボーモルの病」は、近年盛んになっている公共性に関する議論に対してもインパクトを与えるものである。技術的性格の故に生産性の上昇が望めない財の価格が市場で高騰すると、消費者の貨幣錯覚のために需要が過度に縮小する可能性がある。この場合、とくに解決が困難なのは、その生産費の高さが問題視され、公共部門の介入が支持されない可能性があるということである。問題の根本的な解決のためには、人々が「ボーモルの病」について正確に理解することが必要である。特集 【文化政策】