著者
今里 滋 Shigeru Imasato
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.15-29, 2020-03

2006年度から発足した同志社大学大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーション・コースにおいて複数の大学院生が獣害対策を研究課題としてきた。本論は、その課題の背景となったわが国の獣害対策、そしてその手段としての狩猟について、歴史的経緯、制度の変遷、政策およびガバナンス面での現代的課題を、自ら狩猟・有害獣駆除を行ってきた筆者の経験を踏まえて、考察したものである。井上恒男教授退職記念号退職記念論文(Article in commemoration of the retirement of Professor Tsuneo Inoue)
著者
清水 習 Shu Shimizu
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.245-259, 2017-10-10

2007年から始まる未曽有の金融危機を契機に、新自由主義の批判的な見直しが欧米政治経済研究において、一つの潮流をなしている。学界・一般を問わず、新自由主義を論じる際、「新自由主義 = 市場原理主義」という一つの公式として捉われがちであるが、実際の議論・研究における「新自由主義」の意味は非単一的であり、複雑である。本稿では、新自由主義の定義の多様性を、系譜的に見直し、最終的に、新自由主義研究の発展の可能性を批判的に考察する。
著者
岡本 由美子 Yumiko Okamoto
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.57-69, 2018-03-01

本論文の目的は、グローバル・バリュー・チェーン(GVCs)が国際経済学や国際開発でどのように研究されてきたのかその変遷を整理すると共に、貧困問題が依然重くのしかかるアフリカ地域にとってこれがどのような意味を持つのか考察を加えることである。その結果、アフリカにおいてもGVC革命の功罪両面ともに生じているが、アフリカ経済はアジア経済とは異なる発展経路をたどる可能性が存在することが明らかとなった。
著者
畑本 裕介 Yusuke Hatamoto
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.11-24, 2018-03-01

この論文は、社会福祉行政における専門性概念がこれまでどのような意味合いを担い、これからどのような意味合いを担うようになるかを考察するものである。社会福祉行政においては社会福祉主事という福祉専門職が雇用されているが、その専門性は、行政庁内における他部局から分離するための意味合いが第一に求められていた。こうした専門性の考え方を、この論文では専門性の「形式的理解」と呼んだ。専門性の形式的理解においては、専門性の内実は、経験年数をはじめとした「熟練」で代替されるものであった。しかしながら、社会福祉士という国家資格が整備されたり、行政庁内において社会福祉行政の比重が高まったりすると、こうした形式的理解では不十分となっていく。代わって、求められるようになるのは、専門性の「本質的理解」である。この論文では、新たな専門性理解において求められる要素についても考察している。それは、①特別性を持つ対象への相談事務、②社会福祉計画策定技術、③庁内外での社会福祉関連知識の普及者としての役割、の3つである。
著者
武蔵 勝宏 Katsuhiro Musashi
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.157-170, 2020-03

日本の国会は、政府に議事運営権や審議促進手続に関する権限が付与されておらず、凝集性の低い自民党内で造反を回避するためには、事前の調整で政府と与党を一体化する必要性がある。そのため、自民党政権では与党による事前審査が行われ、国会提出の段階から党議拘束がかけられてきた。本稿は、こうした事前審査制に代えて、閣法草案を国会の委員会において予備審査を行う方法を提案し、国会審議の形骸化の解消に取り組むことを提案する。井上恒男教授退職記念号論説(Article)
著者
三浦 哲司 Satoshi Miura
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.63-76, 2011-09-10

本稿では東京都中野区の「地域センター及び住区協議会構想」に焦点を当て、主に「構想の概要の確認」「構想の実践の把握」「構想廃止過程・要因の整理」という3つの作業に取り組む。というのも、平成の大合併が終息した今日では、大都市で都市内分権や地域自治組織のしくみが要請されている状況にあり、先行事例である中野区について分析することで、他都市で何らかのしくみを導入し運営するうえでの留意点が導き出されると考えるからである。もっとも、本稿のねらいは、先の3つの作業によって今後の研究の足がかりを確立することにあり、独自の視座からの分析ができているわけではない。ともあれ、本稿が扱う中野区の「地域センター及び住区協議会構想」とは、区内に15住区を設定し、それぞれに「地域センター」と「住区協議会」を置いて、双方が連携して地域自治の活性化を進めるという内容であった。そして、この枠組みを通じ、なかには熱心に活動する住区協議会もみられた。しかし、その後に区行政当局の対応や協議会委員の固定化などで問題が生じ、構想自体が2006年1月に廃止されてしまったのである。こうした動向をふまえつつ、今後の研究においては特定の住区を対象として、時系列的な分析や最新の実態分析を行う必要がある。あるいは、住区協議会が廃止された住区と、廃止されずに継続している住区とを取り上げて、双方を比較するといった作業も欠くことができない。このように中野区の「地域センター及び住区協議会構想」についてさらなる研究を進めることにより、都市内分権や地域自治組織を導入し運営する他の大都市にとっての留意点が提示できよう。
著者
北川 雄也 キタガワ ユウヤ Kitagawa Yuya
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.387-405, 2017-10

今川晃教授追悼号研究ノート(博士資格論文)(Note (Doctoral qualification these))本稿の目的は、負の政策効果を把握するためにはどのような方策が有効であるかを理論的に検討することである。具体的には、行政による政策効果把握が有効であるのか、それとも行政以外の主体による政策効果把握の成果を活用した方が有効であるのかを検討する。その際、負の政策効果が政策対象者の生活状況ないしは生命を脅かしうるほど大きな影響を与える、障害者政策を理論枠組みの適用対象にあてはめて議論を進める。
著者
大竹 恵子 オオタケ ケイコ Otake Keiko
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.39-52, 2016-09

研究ノート(Note)近年、日本では高齢化にともない、介護サービス分野における人材確保が緊急の課題となっている。本論文では、中心的役割を担うことが予想される介護福祉士に着目し、介護分野における就業率等の就業状況や、介護分野での就業に関する意識について、既存の統計データや調査を基に現状と課題を考察している。その結果、今後の研究課題として、ワーク・ライフ・バランスに関する要因、介護職場への適切なイメージにつながる教育段階での取り組み、就業継続を促す現場での経験、専門性の発揮の有無による就業継続の違いなどについて検討していく必要があると考えられる。
著者
川端 健司 Kenji Kawabata
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.79-90, 2020-08-01

90年代の不登校の増加は、子どもの心理発達の調整局面というより、子育て世帯に広がる生活困窮の広がりが強く作用した結果である。確かに、子どもの貧困率は2015年に改善が見られたものの、むしろ、母子世帯において格差が広がり、所得低位層に援助拒否が見られる。2009年より始まる訪問型家庭教育支援は、地域の人が親との雑談を大切にした支援を行ない、親の自己肯定感の回復につながり、不登校の子どもに就学意欲の改善が見られた。研究ノート(博士資格論文)(Note(Doctoral qualification thesis))
著者
李 月 Yue Li
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.91-107, 2020-08-01

本論の目的は、小学校における多文化共生教育の現状と課題を提示しつつ、理論的アプローチや社会実験を通じて、異なる言語的・文化的背景を持つ児童同士の相互理解を促進するための教育モデルを考案することである。筆者は、この「他者受容力」を育成していく教育プログラムとして「見立て遊び」を独自に考案し、実践した。検証作業を通じて、「他者受容力」を育成できる、より効果的で持続的な多文化共生教育プログラムのさらなる可能性を展望して結論とした。
著者
今里 滋 Shigeru Imasato
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.15-29, 2020-03-01

2006年度から発足した同志社大学大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーション・コースにおいて複数の大学院生が獣害対策を研究課題としてきた。本論は、その課題の背景となったわが国の獣害対策、そしてその手段としての狩猟について、歴史的経緯、制度の変遷、政策およびガバナンス面での現代的課題を、自ら狩猟・有害獣駆除を行ってきた筆者の経験を踏まえて、考察したものである。
著者
久保 真澄 北 寿郎 クボ マスミ キタ トシロウ Kubo Masumi Kita Toshiro
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.261-276, 2017-10

今川晃教授追悼号論説(Article)PDPを生産しているメーカーは存在しておらず、PDPは市場からは完全に姿を消している。ディスプレイデバイス業界における間違った産業予測により、多くの日本企業が短命に終わるPDP産業に巨額の投資を行った。技術者たちへのインタビューにより、「技術者の集団思考的判断」が技術領域における限界予測へ及ぼす影響について明らかにした。技術者たち特有の「専門職共同体における集団思考」の存在についての可能性を確認した。それは、非専門職共同体における集団思考とは全く異なるものである。The manufacturer producing PDP doesn't exist, and PDP has disappeared perfectly from a market. Many Japanese companies did a huge investment in the PDP industry which doesn't have a long life span by a wrong industrial prediction in display device industry. By an interview to engineers, I made it clear about the influence of "engineer's groupthink-like judgement" on predictions of limits in the technological field. A possibility about the existence of "groupthink in a professional collective" peculiar to engineers was confirmed. That's completely different from groupthink in non-professional collective.
著者
畑本 裕介 Yusuke Hatamoto
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-14, 2020-03

社会福祉行政研究に関係するミクロ権力論には、社会学権力論と行政学的権力論の二つの流れがある。この論文では、行政学的権力論を切り開いたリプスキーのストリート・レベルの官僚制(SLB)論を大きく取り上げ、社会福祉行政研究におけるその適用可能性について検討している。また、SLBの在り方が現代において変化した要因についても考察している。それは行政への批判的態度の増大、ガバナンス改革、福祉専門職の行政への進出といったものである。井上恒男教授退職記念号退職記念論文(Article in commemoration of the retirement of Professor Tsuneo Inoue)
著者
武蔵 勝宏 ムサシ カツヒロ Musashi Katsuhiro
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.25-41, 2018-08

論説(Article)本論文は、日本の国政調査権の制度とその運用を英仏独の各国と比較し、その現状と問題点に対する解決策を検討するものである。日本の国政調査権は、少数者調査権が認められておらず、調査報告書の作成も行われていない。また、参考人制度に証人喚問が代替され、資料や記録の提出も守秘義務を理由に行政側が応じない事例もある。衆参両院の行政監視委員会や予備的調査制度も、近年不活発化している。以上の問題点を踏まえ、全会一致制の見直しや、委員長職の野党への配分、予備的調査要求の人数要件の引き下げなどを提言する。
著者
清水 習 シミズ シュウ Shimizu Shu
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.27-40, 2017-03

論説(Article)日本社会科学研究において、談話分析とその理論の認知度は依然として低く、「談話分析」と「言説分析」が同義語として捉えられるような誤解がある。この問題に対し、本稿では、談話分析とその理論誕生の背景を整理し、また、英国財政危機談話の例をもとに分析手法とその応用を明確にすることで、その研究視座と分析射程を思想史的に明らかにした。
著者
小田切 康彦 コタギリ ヤスヒコ Kotagiri Yasuhiko
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
pp.45-57, 2016-02

20周年記念特集号本稿では、地方議会において市民との協働という潮流がどのように捉えられてきたのか、議会会議録を手掛かりにその言説を分析した。テキストマイニング等の手法を用いて、第1に、協働言説のトレンドを分析した。結果、協働関連語句の頻出傾向は、新聞記事等における頻出傾向と類似していることが明らかになった。第2に、協働関連語句の共起ネットワーク分析を行った結果、協働の理念・実践は議会において肯定的に捉えられる傾向にあることがわかった。
著者
倉林 陽 クラバヤシ アキラ Kurabayashi Akira
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.35-51, 2016-03

論説(Article)米国のICT業界において、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を活用したベンチャー企業との資本提携や、ベンチャー企業の買収によるR&Dの外部化は、事業開発上の標準的な手法として定着している。日本に於いても、近年大手企業によるCVCの設立が続くが、未だ米国程の成功を収めることのできた事例は少ない。本稿では、米国の先行研究を基にCVCの成功要因を抽出すると共に、日本のCVCの組織とパフォーマンスに関する実態調査を行い、米国CVCの成功要因が日本でも有効であるかどうかについて、分析を行った。In the US, IT companies used Open Innovation through Corporate Venture Capital (CVC) and M&A as a standard practice of corporate development to remain at the forefront of innovation. However in Japan, the number of successful CVC practices continues to be limited despite growing number of Japanese corporations launching a CVC practice. To explain this difference, this thesis first performed comprehensive review of US past researches regarding US CVC and sort out key success factors. Then, conducted a survey of Japanese CVC's organization profile and investment performance and undertook a statistical analysis to investigate whether US CVC's key success factors works in Japan.
著者
米本 倉基 Kuramoto Yonemoto
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.109-125, 2012-03-15

本研究の目的は、医療分野において注目されている女性医師の増加に関して、その現状を国内外の統計データ、および先行論文をレビューすることで明らかにし、女性医師の就業支援が、今後のわが国の医療政策の重要な視点の一つとなることを論じることである。レビューの統計データは、主に厚生労働省、およびOECDヘルスデータを、論文は国内をCiNiiに、海外はPub Med Centralを中心として収集した。その結果、わが国において、女性医師の占める割合は、諸外国に比べていまだ低いことが確認されたが、その割合は近年急激に増加しており、その対応策の遅れが、わが国の医療現場の疲弊にいっそう拍車をかけることになる懸念が示された。現状における政策の問題点をあげれば、女性医師は、眼科や皮膚科などの特定の専門診療科へ集中する傾向や、結婚や出産後における離職と復職へのハードル、特にパート勤務や診療所開業医への転出する割合は男性医師よりも高く、病院経営に大きく影響している。にもかかわらず、その対策としての女性医師のキャリア支援や柔軟な勤務スタイルの整備など、勤務医のワーク・ライフ・バランス支援策が遅れ、これによって、わが国全体の勤務医不足に影響を与えている現状が明らかとなった。一方、すでに女性医師の割合が、わが国よりはるかに高く、その対策も進んでいる諸外国においても、前述した女性医師の特徴的な傾向を認めることができるが、その政策には見習うべき点が多く、今後の「研究上の視点」とした。
著者
佐野 淳也 Junya Sano
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-17, 2019-08-01

宮城県女川町は東日本大震災により壊滅的な被害を受けた。震災前に1万人以上いた人口は約6,500名まで減少した。町は地域に何らかの形で関わり寄与する人口を「活動人口」と定義し、定住・非定住を問わずこうした活動人口を増やす政策を推し進めた。町内の様々なハブ組織が日常的に連携し、アクター間の情報共有と社会関係資本形成を断続的に行い、30代・40代が核となり創造的な復興計画を公民連携で推し進めたことにより、優れたまちづくり生態系の形成がなされた。
著者
木下 健 Ken Kinoshita
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.17-30, 2015-09-20

本稿の目的は、政治家とインタビュアーのコミュニケーションにおける相互作用の実態をケース・スタディにより明らかにすることにある。政治討論番組は、視聴者にわかり易く政治状況を伝えるとともに、マスコミが政治家に対して直接質問することによって、政府や政党を追及することに意義があるといえる。本稿においては、テレビの政治討論番組がインタビューを行う過程において、出演する政治家に対して、いかなる質問を行い、どのような回答を得ているのかを明らかにする。その際、司会者はどのような争点を質問し、出演する政治家はその質問に対して、いかに答えているのか、質問を回避しているのかを明らかにする。分析の結果、以下の3点を明らかにした。第1に、政治討論番組において、議題はテレビ局及び司会者が設定するため、唐突に質問の議題が大きく転換する点が存在することである。第2に、質問にはフェイスへの脅威が存在する場合があり、脅威には程度の違いが存在していることである。第3に、議題、フェイスへの脅威、及びクローズドエンドクエスチョンかどうかという質問の形式によって回答が明確に答えられるかが変わりうることが明らかとなった。