著者
阪本 崇
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策研究 (ISSN:18818625)
巻号頁・発行日
no.2, pp.95-110, 2008-03

文化経済学の最も大きな理論的貢献である「ボーモルの病」は、近年盛んになっている公共性に関する議論に対してもインパクトを与えるものである。技術的性格の故に生産性の上昇が望めない財の価格が市場で高騰すると、消費者の貨幣錯覚のために需要が過度に縮小する可能性がある。この場合、とくに解決が困難なのは、その生産費の高さが問題視され、公共部門の介入が支持されない可能性があるということである。問題の根本的な解決のためには、人々が「ボーモルの病」について正確に理解することが必要である。特集 【文化政策】
著者
柿本 昭人
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策研究 (ISSN:18818625)
巻号頁・発行日
no.5, pp.20-38, 2011-03

論説近代ヨーロッパは、古代ギリシアを再発見し、民主主義の源流としてアテネを参照してきた。大人=市民として登録されるには、父と、母の父が市民であり、試練と待機の期間を経なければならなかった。そして市民同士が平等な者として議論に参加できるのは、ただ一人の母=大地から生まれたという神話に基づく「生まれの平等」があったからである。安定した大人/子供関係を裏面から支えていたのは、大人になることのない奴隷と女性の存在であった。